ファイナンス 2018年4月号 Vol.54 No.1
22/72

に参加の機会を与えながら、語学力の向上はもとより、技術協力プログラムの策定方法や、実施準備の段取り、さらには、講義でのプレゼンテーション法から討議進行手法などを学ばせています。実際の受入研修を体験し、場数を踏むことで、相手国参加者の目線に合った関税技術協力の重要性とその意義を自ずと肌で感じ取ることができ、どういう技術協力の内容や進め方が効果的なのか、日本国税関職員にとっても自己研鑽できる有意義な機会になると考えています。●どのように評価されているのか平成29年(2017年)5月に開催された日ASEAN財務大臣・中央銀行総裁会議(横浜)において、「技術協力の実施によるASEAN各国の税関手続の調和化促進は大変素晴らしい取り組みであり歓迎」、「税関当局は現在、評価、事後調査、通関システム等の取り組みを行っており、日本の多大なる尽力に感謝」など、各国大臣級の参加者から大変好意的な発言が相次ぎました。また、随時実施される二国間の局長・長官会談や多国間の関税協力会議等においても、日本国税関による技術協力や精力的な支援活動に対し、累次にわたり謝意が述べられています。研修既参加者からは、「全てのプログラムが充実しており、それぞれが補完しあう構成となっていた」、「来日前に期待していた内容を超えるもので、非常に満足」、「他国が実施する研修と比べ、日本のものが一番充実していて、かなり質が高い」、「業務の改善に対して有益な知見を学習でき、実践していきたい」、「今後進むべき道筋が見えた。持ち帰って幹部に報告し、分析検討を続ける」といった評価が得られています。ありがたいことに、関税技術協力に携わる当研修所の教職員の姿を見て、将来自分も専門家として活躍したいとの夢を持ち、「自国の税関だけでなく、自分自身も成長していくことを感じる」との声もありました。●日本の技術協力の強み国際開発金融機関や他の先進国税関が同様の支援活動を行う中で、日本国税関が行う技術協力は「きめ細さ」に定評があり、実施方法や成果など一目置かれるレベルであると考えています。日本の場合、「これをしろ!」、「いつまでにやれ!」といった視点ではなく、相手の目線に合わせ、実情をよく理解したうえで、何が最善の解決策か相手と一緒に考えるアプローチを重要視しています。パートナーとして共に歩むスタイルは、「かゆいところに手が届く」支援として、高い信頼を得ていると考えます。また、研修参加者からは、現場視察も非常に高い評価を得ています。日本の公務員にとっては当たり前に感じる事柄なのですが、仕事の流れを考慮した機能的な職場のレイアウト、整然と整理された書類や参考文献を備えた実務の現場、分かりやすい手順書やチェックリストの活用、インターネットによる情報発信や窓口担当者を明確にした行政サービス、さらには会議の準備や進め方ひとつにも驚かれ、日本の現場では不正やミスを防止し、安全かつ効率的な業務を可能にする工夫が見出せるとして、次々と質問がなされることとなります。関税技術協力受入研修の模様18 ファイナンス 2018 Apr.

元のページ  ../index.html#22

このブックを見る