ファイナンス 2018年4月号 Vol.54 No.1
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中小企業の事業承継支援のための予算の概要主計局経済産業第三係主査 守屋貴之「事業承継税制」の拡充に加えて、予算面でも、中小企業の円滑な事業承継を後押ししていく観点から、平成29年度補正予算及び平成30年度予算では、以下のとおり、承継の準備段階から承継後まで、切れ目のない支援策の充実・強化を図っている。(1)事業承継の準備支援の強化平成29年度補正予算20億円(平成29年度当初予算3億円)各都道府県の商工会・商工会議所や地域金融機関等がネットワークを構築し、廃業リスクが高い事業者を中心に、事業承継の相談(事業承継診断)等を実施する。(2)親族外の後継者候補とのマッチング支援の強化平成30年度予算21億円(平成29年度当初予算17億円)親族外の後継者候補とのマッチング支援を行う各都道府県の「事業引継ぎ支援センター」の体制を強化する。(3)後継者による新たな取組に対する支援の強化平成29年度補正予算30億円(平成29年度当初予算2億円)事業承継を契機とした後継者による経営革新等の取組に対する支援を強化する。図表5 経営環境変化に対応した贈与税・相続税の減免制度について会社を譲渡(M&Aなど)・解散した場合には、その時点の株式価値で税額を再計算して差額を減免。⇒贈与税・相続税負担に対する将来懸念を軽減。(会社の一部の事業譲渡、吸収合併の場合にも適用)税額贈与・相続時税額(再計算)株式価値解散・譲渡時減免5年後以降過去3年間のうち2年赤字など(注1)又は経営を継続しない特段の理由(譲渡・合併のみ)●解散時の相続税評価額又は実際の売却価格(相続税評価額の5割が下限)(注2)●過去5年間の配当や過大給与は税額に加算改正前改正後会社を譲渡(M&Aなど)・解散した場合には、贈与税・相続税を全額納付。(注1)その他、過去3年間のうち2年売上減、有利子負債≧売上の6か月分以上、類似業種の上場企業株価が前年度から減少のいずれかでも認める。(注2)実際の売却価格が5割未満の場合、一旦5割分までを免除し、2年後、譲渡した事業が継続され雇用が半数以上維持されている場合には、残額を減免。12 ファイナンス 2018 Apr.生産性革命に資する税制改正について特集

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