ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
9/60

え、復興事業に必要な予算を復興庁が一括して要求し、予算を計上しているところであり、対29年度2,050億円減の14,283億円を計上している。また、執行段階においても、復興庁が事業箇所等の事業の実質的内容を決定し、各省庁へ予算の配分を行っている。4.外交関係予算(1)ODA予算ア.ODA予算の位置付けと30年度予算の特徴一般会計ODA予算は平成9年をピークに減少傾向にあるが、支出総額の事業見込は有償資金協力の増加等により増加している。そうした中、日本の国益に貢献するよう「質の高いインフラ投資」、「自由で開かれたインド太平洋戦略」などを推進し、ODAを戦略的に展開している。我が国から途上国への資金全体の流れに目を向けると、近年、民間資金がODAなどの政府資金を大きく上回っており、民間資金のうち直接投資は、10年間でODAを超える規模にまで増加している。これらを踏まえ、外務省・独立行政法人国際協力機構が実施する無償資金協力・技術協力についても、途上国における民間の投資環境の整備・改善に資する事業も重視していくこととし、30年度における一般会計ODA予算について前年度より拡充し(対29年度11億円増の5,538億円)、また、円借款等を含む政府全体として見たODA事業量についても増加している(対29年度676億円増の22,933億円)。イ.外務省ODA外務省ODAは、主に、無償資金協力と技術協力、国際機関への拠出から構成される。[無償資金協力・技術協力]無償資金協力は、返済義務のない資金を供与するものであり、主に、比較的所得水準の低い国を対象としている。医療・保健、食糧援助といった基礎的生活分野への援助や、地雷除去、環境保全等の取組みへの支援、経済発展のために必要な道路・橋梁の建設等インフラ整備への支援、災害や難民援助にかかる緊急人道支援など、多岐にわたる支援を実施している。また、技術協力は、途上国の「人づくり」や制度・政策環境の構築に貢献するため、我が国の技術や知見を相手国の技術者等に伝えることを目的として行う専門家派遣や研修員の受入れ等を行うものである。30年度予算においては、「開発協力大綱」(27年2月10日閣議決定)を踏まえつつ、国益に資する開発協力を一層戦略的に実施するために必要な経費として、無償資金協力については1,605億円を計上し、技術協力(独立行政法人国際協力機構)については、1,505億円を計上(29年度はそれぞれ1,631億円、1,505億円)している。[国際機関への拠出*4]国際機関等への拠出については、国連分担金等、条約等に基づく支払い義務があるもの(分担金・義務的拠出金)と、政策的判断に基づき任意に拠出するもの(任意拠出金)から構成される。30年度予算では、分担金・義務的拠出金として1,086億円(29年度1,067億円)、任意拠出金として292億円(29年度327億円)を計上している。資料2:平成30年度ODA予算(単位:億円)項目29年度30年度29’→30’増減一般会計ODA5,5275,538+11(+0.2%)外務省予算(注1)6,9266,967+41(+0.6%)外務省ODA4,3434,344+1(+0.03%)ODA事業量(注2)2兆2,257億円2兆2,933億円程度+676程度(+3.0%程度)(注1)特殊要因を含む。(30年度当初の特殊要因:在外公館における抗インフルエンザウイルス薬備蓄経費等7億円)(注2)ODA事業量は、一般会計ODA予算(当初+補正)、円借款、国際機関向け拠出国債等の合計。*4)国際機関への拠出で記載されている予算額は、非ODA予算も含む。ファイナンス 2018.35平成30年度予算特集2内閣・内閣本府等、復興庁及び外交関係予算について特集

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る