ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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1.概観(1)内閣・内閣本府等予算内閣・内閣府は、各府省の施策に関する総合調整機能を担っており、予算の大宗はこうした総合調整機能を反映したものとなっている。例えば、内閣府の沖縄振興予算においては、沖縄振興計画に基づく関連事業の全体的把握及び事業相互間の進度調整、計画に沿った事業の推進を図る観点から、これらの事業に必要な経費を一括計上し、必要に応じ事業を実施する所管省庁に予算を移し替えて執行するなど、効果的な総合調整を行っている。こうした機能・任務に照らして、必要となる諸課題に対応するため、内閣・内閣本府等の30年度当初予算は全体として、対29年度466億円増の28,634億円となっている*1。(2)復興庁予算復興庁は、東日本大震災からの復興に関する事業の円滑かつ迅速な遂行を図るため、東日本大震災からの復興に関する施策の企画立案・総合調整等を行っている。各省庁所掌の予算については、復興に関する行政各部の事業を統括・監理する一環として、復興庁が所管する一括計上予算として東日本大震災復興特別会計に計上しており、30年度予算では、「復興・創生期間」における被災地の復興に必要な取組を着実に推進するため、対29年度1,796億円減の16,357億円*2を計上している。(3)外交関係予算30年度予算では、安倍政権の「地球儀を俯瞰する外交」を推進する観点から、政府全体の一般会計ODA予算について3年連続増額の姿となっており、円借款等も含めたODA事業量についても増加している。また、非ODA予算も含めた外務省予算については、2年ぶりの増額となっている。こうした中、ア.戦略的外交の展開、イ.テロ対策、ウ.経済外交、エ.戦略的対外発信の推進、オ.外交実施体制の強化に対して、重点的な予算措置を行っている。2.内閣・内閣本府等予算内閣・内閣本府等予算の主な項目は以下のとおりである*3。(1)沖縄振興予算(内閣府沖縄担当部局)沖縄振興策を総合的・積極的に推進するため、内閣・内閣本府等、復興庁及び外交関係予算について主計局主計官 湯下 敦史*1)主な増額の要因は、社会保障関係費の子どものための教育・保育給付等に必要な経費が増額したことによるもの。*2)東日本大震災復興特別会計の30年度歳出額23,593億円のうち、復興加速化・福島再生予備費(財務省所管:3,000億円)及び震災復興特別交付税(総務省所管:3,252億円)等を除き、復興庁所管の予算となっている。*3)内閣府計上の予算であっても、警察庁や公共事業関係費、子ども・子育て本部計上の社会保障関係費、総合科学技術・イノベーション会議関係の予算などは、他の担当係において査定がなされている。復興予算についても、復興係が担当するのは復興庁が自ら執行する予算であり、他省庁に移し替えて執行される予算は、それぞれの省庁の担当係が査定を行う。ここでは、主に内閣・復興係が査定を行う項目について記述する。2ファイナンス 2018.3特集

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