ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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1.平成30年度予算編成の基本的な考え方平成30年度の防衛関係費は、全体で5兆1,911億円(対前年度比+1.3%)を計上するとともに、このうちSACO関係経費*1・米軍再編関係経費*2等以外の中期防衛力整備計画*3(以下「中期防」という。)対象経費については4兆9,388億円(対前年度比+0.8%)を計上している。(図表1:防衛関係予算の推移)中期防対象経費については、中期防に沿って、周辺海空域における安全確保、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃等への対応等に重点化を図るとともに、装備品の調達の効率化等を通じてメリハリある予算としている。また、新規後年度負担については、将来における予算の硬直化を招かないよう、総額を抑制しつつ、2兆1,164億円(対前年度比▲0.6%)を計上するとともに、このうち中期防対象経費は、1兆9,938億円(対前年度比+1.2%)を計上している。(図表2:新規後年度負担額の推移)2.平成30年度予算における主要事業平成30年度予算では、防衛力整備等を着実に推進するために必要な事業を推進しているところ、その主な内容は下記の通りである。*4(図表3:自衛隊の能力等に関する主要事業)(1)周辺海空域における安全確保我が国周辺において、常続監視を行い、各種兆候を早期に察知する態勢を強化するため、情報収集や警戒監視態勢の強化に必要となる装備品の取得等を実施。○護衛艦の建造(2隻:922億円)従来は掃海艦艇が担っていた対機雷戦機能も具備する等、多様な任務への対応能力の向上と船体のコンパクト化を両立した新型護衛艦(3,900トン)を建造。○潜水艦の建造(1隻:697億円)我が国周辺の海域における情報収集・警戒監視を有効に実施するため、探知能力等が向上した潜水艦(3,000トン)を建造。防衛関係費について主計局主計官 内野 洋次郎*1)SACO関係経費とは、沖縄に関する特別行動委員会(SACO:Special Action Committee on Okinawa)最終報告(平成8年12月2日)に盛り込まれた措置を実施するために必要な経費を指す。*2)米軍再編関係経費とは、「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府の取組について」(平成18年5月30日閣議決定)及び「平成22年5月28日に日米安全保障協議委員会において承認された事項に関する当面の政府の取組について」(平成22年5月28日閣議決定)に基づく再編関連措置のうち、地元の負担軽減に資する措置を実施するために必要な経費を指す。*3)おおむね10年程度にわたる我が国の防衛の在り方について、新たな指針として定められた「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱について」(平成25年12月17日国家安全保障会議及び閣議決定)を踏まえ、その当初5年間である平成30年度までの具体的な防衛力整備の計画として、「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)について」(平成25年12月17日国家安全保障会議及び閣議決定)が定められた。中期防は、主要装備品の整備規模、所要経費などを定めている。*4)予算額は(5)を除き契約額ベース。なお、初度費(専用治工具費や初度設計費等)は含まない。46ファイナンス 2018.3特集

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