ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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巻頭言こどもの笑顔を 守るために2018年1月にNPO法人ファザーリング・ジャパン マザーリングプロジェクトと財務省、厚生労働省とのコラボで「税と子育てフォーラム」を開催しました。年1回開催し、3回目になります。赤ちゃんを連れてご家族で参加くださる方も多く、意識の高さを感じます。前半で基本的な情報を聞かせていただいたうえで後半ディスカッションを行い、こどもたちが生きていくこれからの社会をどのように考えたらいいのか、自分たちに何ができるのかをみなさん真剣に語り合ってくださいます。こどもたちの傍らで、税と子育てを語る会。このような機会が、より身近にいろいろな場所で開催されるといいなと思っています。私は育児情報誌mikuの編集長をしています。全都道府県で13万3000部発行している無料の育児誌で、産婦人科や小児科、子育てひろばや保育園、幼稚園などで配布させていただいている本です。認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事でもあり、虐待や不適切なかかわりからこどもを守りたいと思って活動しておりますが、そのベースとなる情報提供源として育児情報誌mikuがあります。無料だからこそ、育児の情報収集に積極的でないパパママにも手に取っていただけるのではないかと思い編集しています。育児情報誌mikuで2016年に「こどもを叩くことがありますか?」というアンケートを実施したのですが、約6割から「叩くことがある」との回答がありました。2018年2月セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンからも報告書『こどもの体やこころを傷つける罰のない社会を目指して』の発表があり、こちらでも「おしりを叩く」を約7割が容認しているという結果が出ています。さらに、「こどもの言動に対してイライラする」「孤独を感じる」「育児、家事、仕事の両立が難しいと感じる」といった悩みを日常的に抱えている親ほど、こどもへの体罰の経験があったと報告されています。私は、こどもを虐待から守る、つまりこどもの笑顔を守るためには、家族が笑顔でいられることが大切だと思っています。私自身、仕事やいくつかのNPOに属して活動していますが、家族が笑顔でいるためには、働き方やパパの子育て、イクボス推進、ママのエンパワメントなどさまざまな角度からのアプローチが必要だと思っているからです。講演やイベントなどを通してヒントや考え方をお伝えしていますが、根本は大人がイライラしすぎないこと、こどもにイライラをぶつけない、コミュニケーションで解決することが重要だと思っています。2017年5月厚生労働科学研究費補助金健やか次世代育成総合研究事業により、体罰によらない育児を推進するための啓発資材「子どもを健やかに育むために~愛の鞭ゼロ作戦~」が頒布され、私も研究協力者としてリーフレットの原案作成から携わらせていただきました。子育て中に限らずイライラしてしまうのは当たり前のことですが、気持ちをコントロールして、コミュニケーションを取り、こどもに暴力や暴言を浴びせない、叩かない怒鳴らないで子育てすることが、当たり前の日本の文化になることを願っています。そしてこどもの笑顔を守るためにも、パパママの笑顔が守られることが必要です。NPO法人ファザーリング・ジャパン理事マザーリングプロジェクトリーダー育児情報誌miku編集長高祖 常子ファイナンス 2018.31財務省広報誌「ファイナンス」はこちらからご覧いただけます。

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