ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
49/60

(d)「コンパクト・プラス・ネットワーク」の取組における質の向上・立地適正化計画のピアレビュー(計画相互の比較検証)の結果を踏まえ、都市機能誘導区域の絞り込みを誘導する観点から、都市再構築戦略事業(社会資本整備総合交付金)において、絞り込みが不十分な都市については、交付率を50%から45%へ引き下げる一方、十分に絞り込んでいる都市については、要件を一部緩和し交付率50%で支援対象とする。3.復旧・復興東日本大震災からの復旧・復興に関しては、その全額が東日本大震災復興特別会計に一括して計上されており、国土交通省関係については、4,564億円となっている。このうち、被災地の復旧については、公共土木施設等(河川、海岸、道路、港湾、下水道等)の災害復旧等事業費について、復旧の進度に応じ所要額を計上することとしており、1,059億円を計上している。また、被災地の復興については、復興道路・復興支援道路の整備や被災地の港湾整備など、被災地の復興に向けた各種事業を引き続き推進することとしており、3,505億円を計上している。〈主な事業〉道路(復興道路・復興支援道路の整備等)2,090億円港湾(被災地の港湾整備)304億円治水(被災地の河川の津波対策等)63億円社会資本整備総合交付金(市街地整備に伴う道路整備等)961億円地域公共交通の確保12億円東北地方の観光復興対策46億円4.今後の社会資本整備のあり方最後に、今後の社会資本整備の方向性について触れておきたい。冒頭で述べた通り、我が国の社会資本の整備水準は、この半世紀のインフラ整備により飛躍的に向上したが、一方で建設国債残高のみで268兆円(平成28年度末)に達するなど財政悪化が続いていることも事実である。こうした中、近年は、官民合わせた日本全体の建設投資が堅調に推移するとともに、手持ち工事高も積み上がっている。今後も、2020年に向けて民間投資が堅調に推移する見通しとなっていることを踏まえれば、公共投資の安易な追加は厳に慎むべきであり、民間投資を阻害しないよう留意しつつ、中長期的な視点に立って、民間投資を誘発する生産性の高い事業への重点化を徹底し、引き続き「質」の改善を図っていくことが重要である。ファイナンス 2018.345平成30年度予算特集2国土交通・公共事業関係予算について特集

元のページ  ../index.html#49

このブックを見る