ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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(7)予算の「質の向上」(ア)インフラ連携による整備効果の最大化(a)道路、港湾等の連携による生産性向上・道路、港湾等の連携により整備効果が増大する事業への計画的な重点化を進め、社会資本全体として生産性効果が最大限に発揮されるようにする。(b)社会資本整備総合交付金における交通拠点連携集中支援事業の創設・地方自治体による空港、港湾等へのアクセス道路整備や連続立体交差事業について、国庫債務負担行為を活用しながら計画的かつ集中的に支援する制度を創設し、インフラ連携を通じ、物流の効率化等による生産性向上を図る。(イ)受益者負担の原則と民間活用の推進(a)下水道事業における受益者負担の原則と民間活用の推進・下水道事業について、受益者負担の原則を踏まえ、下水道の公共的役割・性格を勘案し、地域の特性等に配慮しつつ、国による財政支援を未普及の解消及び雨水対策に重点化する。・コンセッションをはじめとするPFIの導入やICT活用等による経営効率化に資するよう、広域化・共同化に関する計画策定の検討着手や公営企業会計の適用の検討着手を社会資本整備総合交付金と防災・安全交付金の交付要件とし、広域化・共同化と「見える化」の取組を促進する。(b)空港分野におけるコンセッション(公共施設等運営権の設定)の推進・空港整備勘定において福岡空港(31年4月コンセッション開始予定)の運営権対価の一時金収入として216億円を計上。こうした歳入増加を活用し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に備えた施設整備が30年度にピークを迎え、羽田空港等の整備費が一時的に増加することや、那覇・福岡空港双方の滑走路増設事業が本格化することに対応。(注)このほか、北海道内の7空港について、一体的な運営委託に向け、30年3月頃に実施方針を策定する予定である。また、熊本空港(30年1月実施方針策定)、広島空港(30年10月頃実施方針策定予定)等においても、コンセッションに向けた手続きを実施している。(ウ)既存ストックの活用(a)電力会社の発電用ダムを含めた既存ダムの有効活用・電力会社の発電用ダムなどの利水ダムも活用して、我が国のダム施設全体で効率的・効果的な防災・減災対策に取り組むため、北海道電力(株)の発電用ダム「雨竜第1・第2ダム」を活用したダム再生事業に着手する。(エ)予算執行調査の反映等(a)調節池の効率的な整備・現在計画中の荒川調節池において、事業計画見直し、地役権補償方式の設定、工期縮減等の効率的な整備手法を採ることにより、総事業費の抑制と工期の短縮を実現するとともに、効果の早期発現を図ることとし、今後、新規事業化に向けた手続きを進める。(参考)事業計画:3調節池→2調節池総事業費:3,500億円程度→1,700億円程度工期:30年程度→13年程度(b)海上保安庁の航空機の調達効率化・航空機に特別な装備を装着するために必要な改修費を精査するとともに、PBL方式や契約審査部局による調達内容・価格の検証プロセスを導入し、調達価格を予算ベースで約1~3割削減する。(注)PBL(Performance Based Logistics)方式個別の購入部品等に対価を支払うのではなく、納期内の部品供給や不具合復旧等の成果に対して対価を支払う包括的契約。(c)インフラ長寿命化事業の質の向上・防災・安全交付金による橋梁の更新事業について、インフラ長寿命化計画の実効性を上げるため、支援対象を早期措置段階と緊急措置段階のものに重点化した上で、修繕と更新のライフサイクルコスト(LCC)を比較し、更新の方がLCCが低い場合のみを支援することとする。44ファイナンス 2018.3特集

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