ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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1.公共事業関係費・国土交通省予算の概要(1)基本的考え方平成29年11月29日に財政制度等審議会・財政制度分科会が取りまとめた「平成30年度予算の編成等に関する建議」において、「社会資本整備については、これまでの建議において、整備水準の向上等を踏まえ、「量」で評価する時代は終わり、より少ない費用で最大限の効果が発揮されているかという「質」の面での評価が重要な時代になっていることを強調してきた(「量」から「質」へ)。この方針の下、平成30年度予算においては、引き続き総額の抑制に取り組む中で、日本の成長力を高める事業と防災・減災・老朽化対策への重点化・効率化を進め、予算の中身、使い方を徹底して見直す必要がある」とされた。これを受けて、公共事業関係費については、安定的な確保を行い、その中で、生産性向上のためのインフラ整備、豪雨・台風災害等を踏まえた防災・減災対策などへの重点化を推進することとし、その際、既存ストックの有効活用やPPP/PFIの推進等により、少ない費用で最大限の効果の実現を図る等、予算の「質の向上」を徹底することとしたところである。(2)一般会計予算の水準こうした基本的考え方の下で予算編成を行った結果、平成30年度の公共事業関係費の一般会計予算は前年度比+26億円(+0.0%)の5兆9,789億円と、前年度と同水準となっている。また、平成30年度の国土交通省関係の一般会計予算は5兆8,047億円と、平成29年度当初予算比+102億円の増加となっている。これは、国際観光旅客税(仮称)の創設に伴う、観光庁予算の充実(+32.5億円)や一般会計から自動車安全特別会計への繰戻し(+23.2億円)などの影響によるものである。(参考)東日本大震災復興特別会計における公共事業関係費の計上額は6,015億円(復旧2,259億円、復興3,756億円)であり、災害復旧の進捗等により、平成29年度当初予算比▲759億円(▲11.2%)の減少となっている。≪一般会計≫(単位:億円)29年度30年度29’→30’増減公共事業関係費59,76359,789+26(+0.0%)(単位:億円)29年度30年度29’→30’増減国土交通省関係計57,94658,047+102(+0.2%)公共事業関係費51,80751,828+20(+0.0%)非公共予算6,1386,220+81(+1.3%)※本表のほか、委託者の負担に基づいて行う附帯・受託工事費821億円(前年度745億円)がある。※国際観光旅客税(仮称)の30年度税収60億円のうち、32.5億円が観光庁の施策に充てられている。2.主な施策の概要平成30年度の国土交通省予算では、主に以下のような施策を講じることとしている。※以下、計数は平成29年度当初予算⇒平成30年度当初予算国土交通・公共事業関係予算について主計局主計官 中山 光輝40ファイナンス 2018.3特集

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