ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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1.30年度農林水産関係予算の基本的考え方平成30年度の農林水産関係予算については、「平成30年度予算の編成等に関する建議」(平成29年11月29日財政制度等審議会)における指摘、「歳出の総額を極力抑制しながら、大胆なメリハリ付けにより、農林水産業の競争力の強化や成長産業化を推進」することを基本方針として編成を行い、総額2兆3,021億円と対前年度比▲50億円(▲0.2%)となった。建議では、「総産出額8.8兆円の2割弱」しかない「米に6割以上の農家が集中」し「直接的な補助金にして6,500億円を超える支援が行われている」と指摘されている。農政の中心課題である米政策については、「農林水産業・地域の活力創造プラン」等に基づき、平成30年産から行政による生産数量目標の配分に頼らず生産者等や集荷業者・団体が中心となって需要に応じた生産を行うこととされている。この「国による米の生産調整の廃止」を推進するため、「水田活用の直接支払交付金」を大幅に増額するとともに、生産調整のインセンティブ措置である「米の直接支払交付金」を廃止した。併せて、米のみに頼らず、農業経営体が自らの経営判断に基づき作物を選択できる環境を整備するために創設された、品目横断的に農家の所得を補償する収入保険制度の実施のための予算を新たに措置した。また、米を中心とする土地利用型農業の生産性向上、所得向上に向けて、農地の集団化や水田の汎用化を可能にする農地の条件整備等を実施するため、農業農村整備事業予算につき大幅な増額を行った。なお、米政策改革は平成14年の「米政策改革大綱」以来、紆余曲折を経ながらも平成30年から新たな政策がスタートすることになった。しかしながら、足元では業務用米の不足など需要に応じた生産が実現していない面も見られ、引き続き財政負担も含め改革の効果を検証していく必要がある。農林水産関係予算について主計局主計官 前田 努資料1:農林水産関係予算の推移(単位:億円、%)区分(2009年度)21年度(2010年度)22年度(2011年度)23年度(2012年度)24年度(2013年度)25年度(2014年度)26年度(2015年度)27年度(2016年度)28年度(2017年度)29年度(2018年度)30年度農林水産 関係予算(▲2.9)25,605(▲4.2)24,517(▲7.4)22,712(▲4.3)21,727(5.7)22,976(1.3)23,267(▲0.8)23,090(0.0)23,091(▲0.1)23,07123,021(▲0.2)▲50公共事業(▲10.1)9,952(▲34.1)6,563(▲20.9)5,194(▲5.7)4,896(32.9)6,506(1.1)6,578(0.2)6,592(2.6)6,761(1.1)6,833〈29.8〉6,860(0.4)27非公共事業(2.3)15,653(14.7)17,954(▲2.4)17,517(▲3.9)16,831(▲2.1)16,469(1.3)16,689(▲1.1)16,499(▲1.0)16,330(▲0.6)16,238〈70.2〉16,161(▲0.5)▲76農業関係予算19,41018,32417,67217,19017,12817,39617,30217,30817,32517,33611林業関係予算3,7872,8742,7202,6082,8992,9162,9042,9332,9562,99741水産業関係予算2,4081,8192,0021,8321,8201,8341,8181,7841,7741,772▲2農山漁村地域 整備交付金-1,500318961,1281,1221,0671,0671,017917▲100(注)1.予算額は当初予算額。上段( )書きは対前年度増▲減率、30年度の〈 〉書きは農林水産関係予算全体に占める構成比である。2.23年度及び24年度予算は、一括交付金等への拠出額を除く。3.計数は、それぞれ四捨五入によっているので端数において合計と合致しないものがある。ファイナンス 2018.337特集

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