ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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〈概要〉平成30年度診療報酬改定は、医療費の伸び、保険料などの国民負担、物価・賃金の動向、医療機関の収入や経営状況、保険財政や国の財政に係る状況を踏まえ、以下のとおりとする。(1)診療報酬本体 +0.55% (国費+588億円)各科改定率医科 +0.63%歯科 +0.69%調剤 +0.19%※併せて、7対1入院基本料を含めた急性期に係る入院基本料の評価体系の見直し、長期療養に係る入院基本料の評価体系の見直し等、機能に応じた適切な評価を行う。(2)薬価等の改定ア 薬価 ▲1.36%(国費▲1,456億円)※薬価制度改革(下記(3))の効果を含めた影響は▲1.65%イ 材料価格 ▲0.09%(国費▲99億円)(3)薬価制度の抜本改革(国費▲310億円)「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針(平成28年12月20日)」に基づき、薬価制度の抜本改革を実施し、以下の通り30年度予算に反映する。ア 新薬創出・適応外薬解消等促進加算について、平均乖離率要件を撤廃し、対象品目を医薬品そのものの革新性・有用性に着目して判断する仕組みとするなど、抜本的な見直しを行う。イ 後発品上市後10年を経過した長期収載品の薬価について、30年度以降、後発品の薬価を基準に段階的に引き下げる。ウ その他、費用対効果評価の試行的実施の対象となっている品目の価格調整などを行う。併せて、下記の方針に沿って、取組を進める。エ 消費税率の引き上げが予定されている31年度、2年に1度の薬価改定が行われる32年度においては、全品目の薬価改定を行うとともに、最初の薬価改定年度(2年に1度の薬価改定の間の年度)となる33年度における薬価改定の対象範囲について、この間の市場実勢価格の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響等を把握した上で、32年中にこれらを総合的に勘案して、決定する。オ 費用対効果評価については、原価計算方式を含め、市場規模の大きい医薬品・医療機器を対象に、費用対効果を分析し、その結果に基づき薬価等を改定する仕組みを導入する。費用対効果評価の本格実施に向けて、その具体的内容を引き続き検討し、30年度中に結論を得る。カ 原価計算方式における補正加算の見直し等により、薬価算定の透明性に配慮しつつ真に革新的な医薬品についてより高い評価を行うこととあわせ、産業構造の転換を促すとともに、内閣官房健康・医療戦略室および経済産業省と連携しつつ、「日本創薬力強化プラン(緊急政策パッケージ)」に基づき、・日本発のシーズが生まれる研究開発環境の改善、・薬事規制改革(条件付き早期承認制度の導入)やリアルワールドデータの活用による創薬コストの低減と効率性向上、・新たな医薬品・医療機器の創出に向けた研究開発の推進など約529億円を措置する。(4)いわゆる大型門前薬局に対する評価の適正化(国費▲56億円)医薬品の備蓄の効率性や、医療経済実態調査結果における損益率の状況等を踏まえ、特定の医療機関からの処方せんの割合が高い等のいわゆる大型門前薬局の調剤報酬についての適正化を行う。3.平成30年度介護報酬改定・障害福祉サービス等報酬改定等(1)介護報酬改定等○介護費国庫負担28,483億円(29年度:27,688億円)ア 介護報酬改定率+0.54%(国費+137億円)平成30年度介護報酬改定は、地域包括ケアシステムの推進、質の高い介護サービスの実現、多様な人材の確保と生産性の向上、介護保険料の上昇の抑制、介護サービスの利用者負担の軽減及び28ファイナンス 2018.3特集

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