ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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を維持しており、債務残高は199兆円(平成21年度末)から約192兆円(平成30年度末見込み)に微減となっている。また、地方の基金残高は21.5兆円(平成28年度末決算速報値)と過去最高となっており、過去10年間で約1.6倍に増加している。このような中、平成30年度地方財政対策においては、後述する「経済・財政再生計画」の「集中改革期間」の最終年度として、地方の安定的な財政運営に配慮しつつ、地方歳出を重点化・効率化するとともに、国・地方を通じた財政資金の効率的配分や財政健全化に取り組むことが課題であった。2.平成30年度地方財政対策について(1)通常収支分についてA)「経済・財政再生計画」及び「予算編成の基本方針」について「経済・財政再生計画」(平成27年6月30日閣議決定)では、地方においては、国の取組と基調を合わせて改革に取り組むこととされ、その歳出水準については、「国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体をはじめ地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2018年度(平成30年度)までにおいて、2015年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する」とされた(「地方一般財源総額実質同水準」ルール)。また、「平成30年度予算編成の基本方針」(平成29年12月8日閣議決定)においては、「予算編成に当たっては、我が国財政の厳しい状況を踏まえ、引き続き、歳出全般にわたり、聖域なき徹底した見直しを推進する。地方においても、国の取組と基調を合わせ徹底した見直しを進める」こととされた。平成30年度の地方財政計画は、これらの方針に従って策定されたものである。国と地方の財政状況(フロー)▲2.0▲4.0▲3.1▲0.32.04.23.54.62.10.40.81.62.81.53.02.71.90.8▲7.0▲7.6▲8.8▲4.4▲1.80.4▲0.01.3▲1.0▲2.5▲2.0▲1.10.3▲0.90.90.90.2▲0.7▲19.6▲24.1▲24.3▲19.7▲15.7▲12.8▲10.0▲19.1▲38.1▲31.9▲32.5▲28.6▲29.6▲21.0▲18.3▲18.7▲20.4▲17.2▲26.7▲30.7▲30.5▲24.9▲19.7▲16.4▲13.5▲23.4▲43.1▲37.3▲38.3▲34.6▲35.4▲27.0▲24.2▲24.9▲26.5▲24.1▲50▲40▲30▲20▲10010H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26H27H28H29H30(兆円)地方の基礎的財政収支(PB)地方の財政収支国の基礎的財政収支(PB)国の財政収支○地方交付税交付金(一般会計ベース)の推移14.513.010.911.512.413.014.615.112.610.211.311.611.712.813.714.914.815.21.43.15.53.92.20.72.65.43.83.83.62.61.50.30.70.21.01.51.31.11.00.60.210.012.014.016.018.0H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26H27H28H29H30(兆円)(年度)(年度)別枠加算特例加算地方交付税法定率分等○リーマンショック後、国と地方との財政状況の不均衡が拡大。国と異なり、地方の足元の財政状況を見ると、基礎的財政収支(PB)は黒字が続き、財政収支もほぼ黒字となっている。○基礎的財政収支(PB)・財政収支の推移(フロー)(出典)内閣府「国民経済計算確報」。平成23年度以降は「中長期の経済財政に関する試算」(平成30年1月23日 内閣府)。(注)国・地方とも、平成23年度以降については、復旧・復興対策の経費及び財源の金額を除いたベース。ファイナンス 2018.315平成30年度予算特集2地方財政対策について特集

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