ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
18/60

1.はじめに一般会計歳出に計上される地方交付税交付金は、地方交付税法において、国税収入額の一定割合(30年度は所得税及び法人税の収入額の33.1%、酒税の収入額の50%、消費税の収入額の22.3%)とされている。しかし、実際に地方団体に交付される地方交付税の総額は、これにとどまらず、・過去の地方財政対策における国と地方の貸し借りなどに起因して地方交付税法附則等によって後年度に加算することが定められている額の加算(法定加算)及び過年度の精算・地方財政全体の収支見通しにおいて、地方歳出の総額と、地方税、地方交付税の法定率分及び法定加算等、地方債、国庫支出金などの地方歳入の合計額との間に生じた乖離(地方の財源不足)を国・地方が折半して補填するための加算(特例加算)を行った上で決定されている。近年の国・地方の財政状況を見ると、国は巨額の基礎的財政収支の赤字を抱え、債務残高がリーマンショック後の621兆円(平成21年度末)から9年間で約290兆円増加し915兆円まで累増する(平成30年度末見込み)と見込まれているのに対し、地方は平成17年度以降基礎的財政収支の黒字地方財政対策について主計局主計官 高橋 俊一平成30年度地方財政計画(通常収支分)の概要○地方財政対策においては、地方歳出総額を規律する地方財政計画における歳出歳入ギャップに対し、国税の一定割合である地方交付税の法定率分(国)を充当。※地方交付税の法定率:所得税33.1%、法人税33.1%、酒税50%、消費税22.3%※このほか、地方法人課税の偏在是正のために導入された地方法人税の税収を交付税原資化(特会財源)○法定率分等で不足する財源については、特例加算(国)と臨時財政対策債(地方)により折半で負担することで対応。地方交付税総額:16.0兆円平成30年度地方財政計画(単位:兆円、(カッコ書)は対前年度増減額)【歳入86.9(+0.3)】地方税・地方譲与税:42.0(+0.4)地方特例交付金:0.2(+0.0)その他:5.9(+0.0)【歳出86.9(+0.3)】公債費:12.2(▲0.4)投資的経費:11.6(+0.3)一般行政経費:37.1(+0.5)給与関係経費:20.3(▲0.0)歳出特別枠:-(▲0.2)その他:5.7(+0.1)交付税法定率分等:15.2(+0.4)特会財源:0.6(▲0.2)歳出歳入ギャップ:16.2(▲0.8)地方債(右記臨財債除く):9.1(+0.5)国庫支出金:13.7(+0.1)国・地方折半折半対象財源不足:0.3(▲1.0)臨財債:0.2(▲0.5)特例加算:0.2(▲0.5)うち、補助分:20.2(+0.5)うち、単独分:14.1(+0.0)うち、まち・ひと・しごと 創生事業費:1.0(±0)うち、重点課題対応分:0.25(±0)14ファイナンス 2018.3特集

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る