ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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年度補正予算では78億円〕のうち、省エネ設備支援については「事業者クラス分け制度」においてS評価を受けた事業者に対して採択審査の際に加点を行うほか、現行のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)よりも省エネ率の高いZEH+の導入支援や、高性能断熱建材といった次世代省エネ建材の導入等を支援している。〈再生可能エネルギー関連予算〉再エネ分野に対する支援は総花的になりがちだが、優先順位付けを明確化し、政策効果の高い事業への重点化を進める必要がある。また、国民負担抑制と再エネ導入の両立に向け、技術開発・実証事業等に必要な予算を拡充している。具体的には、福島県における再生可能エネルギーの導入促進のための支援事業費補助金75億円〔+50億円〕や、再生可能エネルギー出力制御量を低減させるための技術開発事業3億円〔新規。平成29年度補正予算では43億円〕を計上するほか、水素社会の実現に向けて、未利用エネルギーを活用した水素サプライチェーン構築実証事業89億円〔+42億円〕などの必要な予算を計上している。イ.燃料安定供給対策我が国のエネルギーの安定供給を確保する観点から、石油・天然ガスの自主開発比率の引き上げについて検討していく必要がある。他方で、財政制度等審議会「平成30年度予算の編成等に関する建議」(平成29年11月)や昨年秋の行政事業レビューで指摘されたように、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)については、「民間主導の原則」を基本としている以上、業務が肥大化することのないよう、適切な支援対象・手法の在り方を検討する必要がある。こうした議論を踏まえ、JOGMEC出資金については414億円〔▲137億円〕を計上している。(2)電源開発促進勘定(電源開発促進税財源)電源開発促進勘定の歳出は、発電設備の建設と運転を円滑にすることを目的とする「電源立地対策」と、発電用施設の利用促進と安全確保等を目的とする「電源利用対策」とで構成されており、それぞれ1,629億円〔▲25億円〕、141億円〔+0億円〕を計上している。「電源立地対策」の約半分を占める電源立地地域対策交付金は、発電用施設等の立地の促進及び運転の円滑化を図るため、立地自治体に対して交付される交付金である。設備容量や発電電力量などによって交付額が算定されており、822億円〔▲2億円〕を計上している。また、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針について」(平成28年12月閣議決定)を踏まえ、中間貯蔵施設費用相当分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に対する交付金として470億円〔±0億円〕を計上している。6 復興関係被災地の復旧・復興状況を踏まえ、福島イノベーション・コースト構想の実現や被災中小企業の復旧事業等に必要な予算を計上している。具体的には、福島県浜通り地域においてロボットテストフィールドを整備するとともに、同地域の産業振興に資する技術開発・実用化開発を支援するために122億円〔+27億円〕を計上するほか、関連プロジェクトの創出等を支援するために8億円〔新規〕を計上している。また、被災地の産業復興・雇用創出に向けて、中小企業組合等共同施設等災害復旧事業(いわゆるグループ補助金)に150億円〔▲60億円〕を計上している。○環境省予算1 概観環境省の平成30年度予算では、一般会計予算として3,273億円〔+6億円〕を計上しており、うち1,354億円がエネルギー対策特別会計・エネルギー需給勘定への繰入れ、428億円が原子力規制委員会関係となっている。また、東日本大震災復興特別会計において6,559億円〔▲640億円〕を計上している。2 安全・安心な環境の確保、豊かな自然の保全・活用「安全・安心な環境の確保」として、適切な廃棄物処理を推進するとともに、化学物質の影響調10ファイナンス 2018.3特集

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