ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
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率・高速処理能力を有するAIチップ等について産学官連携で行う技術開発のために100億円〔新規〕を計上するほか、AIチップ開発に必要な開発環境の整備等に8億円〔新規。平成29年度補正予算では17億円〕を計上している。また、人工知能技術とロボット要素技術の融合を目指した中核的な次世代技術について、産学官で行う研究開発に57億円〔+12億円〕を計上している。自動走行については、高度な自動走行システムの社会実装を目指し、トラックの隊列走行(2台目以降の後続車両を無人化)や管制センターの遠隔操作による無人自動走行といった実証事業等に35億円〔+9億円〕を計上している。3 中小企業対策中小企業対策費は、経済産業省予算のほか、財務省予算及び厚生労働省予算に計上されており、一般会計全体では1,771億円〔▲39億円〕を計上している。景気回復を反映した信用保証制度の運営のための日本政策金融公庫への出資金の減〔▲33億円〕と、過去の不正融資に伴う商工組合中央金庫から日本政策金融公庫への返還金(約36億円)の活用により、商工組合中央金庫の危機対応業務のための新たな補給金の計上が不要となったことによる減〔▲9億円〕がある一方、その他の政策的な予算を増やしている〔+3億円〕。平成30年度予算では、生産性革命の実現に向けて、中小企業・小規模事業者の生産性向上支援に重点化するとともに、資金繰り対策等にも万全を期している。具体的には、地域中核企業を含む中小企業・小規模事業者が産学官連携により行う研究開発等の支援事業162億円〔+6億円〕、「事業引継ぎ支援センター」の体制強化等を行う中小企業再生支援・事業引継ぎ支援事業69億円〔+8億円〕を計上している。資金繰り対策については、日本政策金融公庫による低利融資や信用保証協会の債務保証等を円滑に行うため269億円〔+1億円〕(別途財務省分653億円〔▲29億円〕)を計上している。別途、平成29年度補正予算では、生産性革命を推進する観点から、ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業(いわゆるものづくり補助金)に1,000億円、サービス等生産性向上IT導入支援事業に500億円を計上している。なお、財政制度等審議会「平成30年度予算の編成等に関する建議」(平成29年11月)の指摘を踏まえ、中小企業向け補助金については、真に政策目的の実現につながる取組を促していくためのインセンティブを付与する観点から、補助率の見直し等のメリハリ付けを行っている。4 国際展開支援中堅・中小企業等の海外展開支援や対日直接投資の促進、グローバルベンチャーの創出支援等に必要な予算を計上している。具体的には、中堅・中小企業等の海外展開支援や対内直接投資を促進するため、(独)日本貿易振興機構(JETRO)への運営費交付金として239億円〔+0億円〕を計上している。また、2020年ドバイ国際博覧会への日本館出展や、2025年国際博覧会の大阪・関西への誘致に向けた国際博覧会出展事業として11億円〔▲3億円。平成29年度補正予算では9億円〕を計上している。5 エネルギー対策特別会計エネルギー対策特別会計には、石油石炭税収を財源とするエネルギー需給勘定、電源開発促進税収を財源とする電源開発促進勘定、原子力損害賠償支援勘定の3つの勘定がある。(1)エネルギー需給勘定(石油石炭税財源)ア.エネルギー需給構造高度化対策〈省エネルギー関連予算〉エネルギーミックスを実現するためには、オイルショック後並の大幅なエネルギー効率の改善が必要とされている。そのため、幅広い事業者や消費者に省エネの取組を促す必要があり、規制的手法を中心に取り組みつつ、補完的に予算を必要分野に重点化して活用していくことが必要である。具体的には、例えば、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金600億円〔▲72億円。平成29ファイナンス 2018.39平成30年度予算特集2司法・警察、経済産業、環境予算について 特集

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