ファイナンス 2018年3月号 Vol.53 No.12
10/60

分担金・義務的拠出金については、外交交渉により国際機関全体の予算の抑制に努めつつ、円安の影響による増額を見込んで措置している。任意拠出金については、外務省において30年度当初予算の概算要求に際し、当初予算で措置している全ての国際機関について、ア.当該機関等の専門分野における影響力・貢献、イ.我が国重要外交課題遂行における当該機関等の有用性(当該機関等の意思決定における我が国のプレゼンスを含む)、ウ.当該機関等の組織・財政マネジメント、エ.当該機関等における邦人職員の状況、オ.PDCAサイクルの確保を評価基準として、A~Dの4段階評価を実施した。その上で、評価結果に基づいた必要性、及び拠出先で拠出金が使われずに多額の繰越金が発生している場合にはその実態等を精査の上、メリハリを付けた予算を計上している。(2)外務省予算における重点項目ア.戦略的外交の展開日本の安全を確保するとともに、法の支配に基づく国際秩序を維持・強化するため、主に以下の施策に予算計上をしている。・日米同盟の強化と我が国の安全保障環境の整備対米関係では、日米経済対話や地方レベルのグラスルーツでの関係を強化し、対露関係では、「ロシアにおける日本年」での日本紹介事業など様々な分野で協力を推進するため、また、太平洋諸国との関係では、第8回太平洋・島サミットを本邦で開催するため、32億円を計上している。・「自由で開かれたインド太平洋戦略」の具体化各国の海上保安能力の強化やアジア・アフリカ法律諮問委員会総会の本邦開催など法の支配の強化のため、また、インフラ整備や人材育成等を通じ、インド太平洋地域におけるモノとヒトの連結性強化を推進するため、333億円を計上している。・国際機関の戦略的活用安保理改革の早期実現、安保理非常任理事国選挙に向けた集中的な選挙対策、国連関係機関の邦人職員増に向けた施策等を推進するため、310億円を計上している。イ.在外邦人や国内を守るためのテロ対策等テロ等の脅威から在外邦人の安全を確保するとともに、国内の安全を維持するため、主に以下の施策に予算計上をしている。・在外公館警備の強靭化在外公館における警備を強靭化するため、施設や設備の整備を推進するとともに、警備体制を拡充することにより、欧州・アジアへのテロ拡散に対抗するため、68億円を計上している。・テロ対策・治安能力構築支援海外で活躍する日本人を守り、日本国内へのテロ拡散を防ぐため、また、テロ対策の機材供与、治安当局や法執行機関の能力強化等を支援するため、59億円を計上している。ウ.日本経済を外交面で後押しするための施策日本経済の持続的な成長に向け、日本に有利な国際経済環境づくりを推進するため、主に以下の施策に予算計上をしている。・G20サミット2019年に日本で開催されるG20サミットの成功に向け、シェルパ会合等の準備経費として4.4億円を計上している。・大阪万博誘致2025年の大阪万博誘致を実現すべく、2018年11月に予定される博覧会事務局(BIE)選挙に向け、BIE加盟国の支持取り付けを積極的に展開するため、8億円を計上している。エ.戦略的対外発信の推進日本の正しい姿や多様な魅力を発信するとともに、親日派・知日派を育成するため、主に以下の施策に予算計上をしている。・日系社会との連携強化日系社会の継続的な発展に向けて、ビジネス分野や次世代育成といった幅広い観点で中南米等の日系社会との連携を強化するため、18億円を計上している。6ファイナンス 2018.3特集

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る