ファイナンス 2018年2月号 Vol.53 No.11
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一方、歳入については、租税等の収入は59兆790億円、その他収入は4兆9,416億円を見込んでいる。また公債金は、33兆6,922億円(特例国債27兆5,982億円、建設国債6兆940億円)であり、前年度当初予算に対し6,776億円の減額を行っている*2。(2)主要な経費の概要社会保障関係費においては、持続可能な社会保障制度を構築する観点から、薬価制度の抜本改革等様々な分野における改革に取り組むこととしている。また、「子育て安心プラン」を前倒しし、保育の受け皿拡大等を推進する。文教及び科学振興費においては、教職員定数において効率化と必要な分野への充実を図るほか、幼児教育や高等教育の経済的負担の軽減、大学改革、安全・安心な学校の施設整備等を推進することとしている。また科学技術イノベーションを促進する。地方財政においては、歳出特別枠を廃止するなど地方歳出を見直す一方、地方の税収増を反映し地方交付税交付金等を縮減しつつ「一般財源の総額」を適切に確保し、地方に最大限配慮している。防衛関係費においては、より重大かつ差し迫った脅威となった北朝鮮の核・ミサイル開発等に適切に対応し、中期防衛力整備計画に基づき所要の取組を講じるとともに、沖縄の基地負担軽減等のための在日米軍再編事業を着実に推進することとしている。公共事業関係費においては、生産性向上のためのインフラ整備や豪雨・台風災害等を踏まえた防災・減災対策等への重点化・効率化を推進することとしている。経済協力費においては、戦略的外交を後押しする観点から、自由で開かれたインド太平洋戦略等に重点化しつつ、ODAは予算・事業量ともに必要な額を確保している。中小企業対策費においては、地域の中核となる企業の支援や中小企業の事業承継支援を充実するほか、人材対策や資金繰り対策等にも万全を期すこととしている。エネルギー対策費においては、再生可能エネルギーの導入に向けた研究開発を拡充するほか、省エネルギーの取組や国内資源の開発、海外資源の権益確保等を推進することとしている。農林水産関係予算においては、米政策の改革を円滑に行うことができるよう必要な支援を充実させるほか、林業の成長産業化や輸出力の強化等に取り組むこととしている。国家公務員の人件費においては、給与改定や給与制度の総合的見直しのほか、退職手当の引下げ等を適切に反映している。東日本大震災からの復興については、復興のステージに応じた課題に対応するため、30年度東日本大震災復興特別会計の総額を2兆3,593億円としている。2.平成29年度補正予算の概要一般会計において、「生産性革命」・「人づくり革命」、災害復旧や防災・減災事業、総合的なTPP等関連政策大綱実現に向けた施策等、総額約*1)「経済・財政再生計画(骨太2015)」で示された「目安」国の一般歳出:安倍内閣のこれまでの3年間(平成25年度~27年度)の取組では一般歳出の総額の実質的な増加が1.6兆円程度となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度(平成30年度)まで継続させていくこととする。社会保障関係費:安倍内閣のこれまで3年間の経済再生や改革の効果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度(平成30年度)まで継続していくことを目安とし、効率化、予防等や制度改革に取り組む。この点も含め、2020年度(平成32年度)に向けて、社会保障関係費の伸びを、高齢化による増加分と消費税率引上げとあわせ行う充実等に相当する水準におさめることを目指す。*2)税収が59兆円台となるのは、平成3年度(決算:59.8兆円)以来27年振り。なお平成3年度予算の一般会計歳出総額は70.3兆円であり、これと比べ平成30年度歳出予算は97.7兆円と、税収が同水準にも関わらず27.4兆円の増となっている。これは社会保障関係費の増(平成3年度比+20.8兆円)、国債費の増(平成3年度比+7.3兆円)でほぼ説明され、またそのファイナンスは、平成3年度当時は発行されていなかった特例公債(27.6兆円)で行われる姿となっている。ファイナンス 2018.23平成30年度予算特集1平成30年度予算及び平成29年度補正予算について 特集

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