ファイナンス 2018年2月号 Vol.53 No.11
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井伸和氏は、今年75歳になり、そろそろ後進に道を譲ろうとされている。これまでの取組についてお話をお聞きすると、「本の学校は、二十数年前にドイツの書籍業学校と産業構造に学び、更に日本の図書館、学校図書館に光が当たってない問題も視野に入れて、ドイツモデルを参考の一つに改革をと、警鐘連打してきました。しかし危機感の共有と改革は進まず、無力感を抱かざるを得ない現実の変化の早さです。新規参入のない産業は滅びると、3年越しで小資本でも可能な本屋の新規参入テキストづくりに本の学校は取りくんできました。」「ドイツでは、いち早く書籍業学校がメディアキャンパスにかわり、55のテーゼ(2011年に、2025年の出版業界どうなるのかを予測したもの)を掲げ、電子と紙、ネットとリアルの融合に挑戦、アメリカでも地域とともにある独立系の新業態の街の書店の元気が伝えられています。」という。また、早くから図書館と書店の連携という取組みを重視してきた。朝の読書運動や、ブックスタートの開始に寄与し、書店、出版社と図書館の壁を乗り越え、ともに読者を育むことが大切という流れをつくり広げてきた。2014年3月に「本の学校・出版産業シンポジウム2014春」が開催され、「街の本屋と図書館の連携を考える―地域社会での豊かな読書環境構築に向けて―」をテーマに、片山善博慶応義塾大学教授や山梨県立図書館長で作家の阿刀田高氏などが「書店と読書環境の未来図」を巡って語り合い、この分野における画期的なシンポジウムに写真3 桜の時期の本の学校写真4 本の学校の実習・実験店舗(その1)写真6 同(その3)写真7 本の学校初代理事長・前今井書店グループ会長の永井伸和氏写真5 同(その2)40ファイナンス 2018.2SPOT

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