ファイナンス 2018年2月号 Vol.53 No.11
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2006年4月に、文部科学省生涯学習政策局において開催された「これからの図書館検討協力者会議」は「これからの図書館像―地域を支える情報拠点をめざして―(報告)」を公表している。主査を務めた薬袋秀樹氏(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科教授(当時))は、本報告について図書館の「主なサービスと経営の考え方について詳しく論じており、その点で文部科学省の戦後の図書館に関する各種の答申や報告の中でも画期的なものと思われる」としていた。また、本報告の中では、「図書館は、印刷資料のほかインターネット上の電子情報など様々な種類の情報を一か所で利用でき、また、これらの情報の効率的な利用方法を案内する「ワンストップサービス」であることを明らかにしている」と指摘する。このような機能の活用について「文化経済戦略」に入らなかったことは残念だ。(3)ファイナンスライブラリー筆者は、これまでこのファイナンスライブラリーで下記のとおり、幾度か図書館・書店に関する本を御紹介してきた。ア.ファイナンス2012年6月号 根本彰著「理想の図書館とは何か」(ミネルヴァ書房 2011年10月)イ.同2014年6月号 NPO法人本の学校編「本との出会いを創り、育てるために」(出版メディアパル 2013年7月)ウ.同2015年6月号 根本彰著「場所としての図書館・空間としての図書館」(学文社 2015年4月)エ.同2016年4月号 柳与志夫著「文化情報資源と図書館経営」(勁草書房 2015年2月)まったく偶然であるが、図書館情報学の碩学根本彰先生(東京大学大学院教育学研究科教授(当時))が高校の先輩であることを「理想の図書館とは何か」を読んで知り、そのご縁もあって財務総合政策研究所のランチミーティングにおいでいただき、お話を伺う貴重な機会を得た(2012年8 月1 日「21 世紀に図書館は生き残るのか」)。根本教授は、ウ.の著書で、「図書館はそのコミュニティの構成員誰もが自由に出入りし、一定時間の滞在を許されるところである。そこに入った利用者はやろうと思えばきわめて多種多様の知的活動をすることができるし、場合によっては何もしなくてもよい。新旧の資料が得られれば、最新の電子情報へのアクセスが可能になるし、各種の行事やセミナーに参加することもできる。これが地域的コミュニティあるいは機能的コミュニティいずれにとっても、場所としての図書館が果たすべき役割である。別に目的がなくとも、そこにいることを許す公共施設というのは図書館以外に公園くらいしかない」という。また、2004年から1年間主税局で広報担当企画官をしていたが、鳥取県鳥取市に赴き、法人会・第18回全国青年の集い・鳥取大会での講演に加えて鳥取商工会議所でも税についての講演をし、「ZIT」(鳥取県ジゲおこしインターネット協議会)という鳥取県の地域おこしのメーリングリストに加えていただいた。このメーリングリストでの関係者との交流の中で、今井書店グループ会長・今井書店会長・NPO本の学校初代理事長であった永井伸和氏の知遇を得た。そこから本の学校の賛助会員となり、本の学校が毎年開催してきた「本の学校・出版産業シンポジウム」に2012年から毎年参加したり、本の学校が東京で不定期に開催している「本の学校連続講座」のいくつかに出たりする中で、福岡市の独立系書店ブックスキューブリックのオーナーである大井実氏や千代田図書館長の活躍がよく知られる柳与志夫氏と知己になることができた。さらに、2014年から1年間務めた地方課長の際の実践経験を整理して、「宣伝会議」別冊の季刊「環境会議・人間会議」に2016年に4回にわたり「地域連携で広がる未来」という記事を掲載することができた。現在の地域課題を解決するためには、ネットワーク型の対応が重要になっていることを主張させていただいた。このような考えに至る過程では、これらのご縁を得たことが大きいと思う。地方課長時代に、九州財務局への出張の際に熊本の長崎書店の長崎健一氏とも知りあいになることができた。長崎さんの商店街での活動(「上通りスタンダード」の作成)については、上記の記事で紹介させてもらった。38ファイナンス 2018.2SPOT

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