ファイナンス 2018年2月号 Vol.53 No.11
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の場があり、お年寄りも若者も安心して暮らすことができる社会を目指す。財政健全化については、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指すという目標を堅持し、同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指す。この目標の達成に向け、これまでの経済・財政一体改革の取組を精査した上で、本年の「経済財政運営と改革の基本方針」において、プライマリーバランスの黒字化の達成時期及びその裏付けとなる具体的な計画を示す。平成30年度予算は、「経済・財政再生計画」(「経済財政運営と改革の基本方針2015」(平成27年6月30日閣議決定)第3章)における集中改革期間の最終年度であり、同計画に掲げる歳出改革等を着実に実行する。日本銀行には、経済・物価情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。3.平成30年度の経済見通し(1)平成30年度の経済の姿平成30年度の我が国経済は、海外経済の回復が続く下、「2.平成30年度の経済財政運営の基本的態度」の政策効果もあいまって、雇用・所得環境の改善が続き、経済の好循環が更に進展する中で、民需を中心とした景気回復が見込まれる。物価については、景気回復により、需給が引き締まる中で上昇し、デフレ脱却に向け前進が見込まれる。この結果、平成30年度の実質GDP成長率は1.8%程度、名目GDP成長率は2.5%程度と見込まれる。また、消費者物価(総合)は1.1%程度の上昇と見込まれる。なお、先行きのリスクとしては、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響等に留意する必要がある。(2)各項目の見通しア.実質国内総生産(実質GDP)・民間最終消費支出雇用・所得環境の改善が進むことにより、増加する(対前年度比1.4%程度の増)。・民間住宅投資緩和的な金融環境の下、おおむね横ばいで推移する(対前年度比0.6%程度の増)。・民間企業設備投資生産の増加や企業収益の改善等により、増加する(対前年度比3.9%程度の増)。・政府支出社会保障関係費の増加等により、増加する(対前年度比0.4%程度の増)。・外需海外経済が回復していくことから増加する(実質経済成長率に対する外需の寄与度0.1%程度)。イ.実質国民総所得(実質GNI)海外からの所得が増加する中で、実質国民総所得(実質GNI)は実質GDP成長率と同程度の伸びとなる(対前年度比1.8%程度の増)。ウ.労働・雇用雇用環境の改善が続く中で、女性や高齢者等を中心とした労働参加の拡大もあり、雇用者数は増加する(対前年度比0.7%程度の増)。完全失業率はやや低下する(2.7%程度)。エ.鉱工業生産輸出や国内需要の増加等から増加する(対前年度比2.7%程度の増)。オ.物価消費者物価(総合)上昇率は景気回復による需給の引き締まりの中で1.1%程度となる。こうした中でGDPデフレーターは引き続き上昇する(対前年度比0.8%程度の上昇)。カ.国際収支海外経済の回復を背景とした輸出の増加や、海外からの所得の増加等により、貿易・サービス収支、経常収支の黒字は増加する(経常収支対名目GDP比4.0%程度)。18ファイナンス 2018.2特集

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