ファイナンス 2018年2月号 Vol.53 No.11
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40年債は、それぞれ入札1回あたりの発行額を▲0.1兆円減らし、合計で前年度当初比▲1.8兆円減額している。中短期債(1、2、5年)については、マイナス利回りで実需が限定的であることから、合計で前年度当初比▲5.8兆円の大幅な減額としつつ、銀行の担保ニーズ等のある2年債は減額幅を抑制している。また、発行総額が減少する中でも、債券市場の流動性低下への懸念に配慮し、ニーズに応じた既発債の追加発行である「流動性供給入札」については、同+1.8兆円とした。3.平成30年度国債発行計画の策定プロセス平成30年度国債発行計画の策定に当たっては、昨年10月に開催した「国の債務管理の在り方に関する懇談会」において、民間有識者の方々から、中長期的な国債管理政策について助言を頂いた。昨年11月及び12月には「国債市場特別参加者会合」及び「国債投資家懇談会」を開催し、市中発行の年限構成等について市場関係者との対話をきめ細かく実施し、市場のニーズの把握に努めた。こうした民間有識者の指摘や市場関係者の声を踏まえつつ、平成30年度国債発行計画を策定したところである。4.おわりに平成30年度国債発行総額は、平成29年度と比べて減少したものの、依然として極めて高い水準にあり、また、国債発行残高は平成30年度末に約976兆円に達すると見込まれている。今後も国債の大量発行を余儀なくされる中で、国債の確実かつ円滑な発行と中長期的な調達コストの抑制を基本目標とする国債管理政策はますます重要となっている。国債発行当局としては、引き続き国債市場の動向を注視しつつ、市場関係者との緊密な対話を行い、国債管理政策の適切な運営に取り組んでいく所存である。(表3)平成30年度カレンダーベース市中発行額区 分29年度当初29年度(補正後)30年度当初(1回あたり)(年間発行額;a)(1回あたり)(年間発行額;b)(b)-(a)(1回あたり)(年間発行額;c)(c)-(a)(c)-(b)40年債0.5×6回3.00.5×6回3.0─0.4×6回2.4▲0.6▲0.630年債0.8×12回9.60.8×12回9.6─0.7×12回8.4▲1.2▲1.220年債1.0×12回12.01.0×12回12.0─1.0×12回12.0──10年債2.3×12回27.62.3×12回27.6─2.2×12回26.4▲1.2▲1.25年債2.2×12回26.42.2×12回26.4─2.0×12回24.0▲2.4▲2.42年債2.2×12回26.42.2×12回26.4─2.1×12回25.2▲1.2▲1.21年割引短期国債1.9×2回23.81.9×2回23.8─1.8×12回21.6▲2.2▲2.22.0×10回2.0×10回10年物価連動債0.4×4回1.60.4×4回1.6─0.4×4回1.6──流動性供給入札10.810.90.112.61.81.7計141.2141.30.1134.2▲7.0▲7.1(注1)40年債については、5月・7月・9月・11月・1月・3月の発行を予定している。(注2)1年割引短期国債と1年政府短期証券を合わせた1年国庫短期証券としての総額は、1回あたり2.1兆円を予定している。(注3)10年物価連動債については、5月・8月・11月・2月の発行を予定し、市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて、柔軟に発行額を調整。(注4)流動性供給入札のゾーン毎の発行額等は、市場参加者との意見交換を踏まえ、市場環境や投資ニーズに応じて柔軟に調整。区 分29年度(実績見込み)30年度当初対29年度(実績見込み)15.5年超39年未満2.63.00.45年超15.5年以下6.67.20.61年超5年以下1.72.40.716ファイナンス 2018.2特集平成30年度予算特集1平成30年度国債発行計画について

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