ファイナンス 2018年2月号 Vol.53 No.11
19/60

策に要する費用の財源に充てるため、復興特別税等の収入が確保されるまでのつなぎとして発行されるものであり、平成30年度においては、同▲0.6兆円減の1.0兆円の発行を予定している。財投債は、財政融資の新規の貸付規模、財政融資資金全体の資金繰り等を勘案した結果、平成30年度においては前年当初と同額の12.0兆円となった。借換債は、過去に発行した国債の満期到来に伴う借換えのために発行するものであり、国債発行総額の大半を占めている。国債残高の増加を背景に借換債の発行額は依然多額に上るが、平成30年度においては、近年の発行年限の長期化等により同▲2.8兆円減の103.2兆円となった。(2)消化方式別発行額国債の消化方式は、大別すると、「市中発行」、「個人向け販売」、「公的部門」の3方式がある(表2、右表)。大半を占める「市中発行」分のうち、計画的に発行するカレンダーベース市中発行額については、前年度当初比▲7.0兆円減の134.2兆円の発行を予定している。足元の市場環境において、額面以上の価格で国債を発行できることによる超過収入等も考慮した結果、(1)の国債発行総額の減少より減額幅が大きくなっている。なお、当該超過収入については、入札時の追加発行である第Ⅱ非価格競争入札に係る発行額とともに、「第Ⅱ非価格競争入札等」に計上している。「個人向け販売」分は、足元の販売状況等を踏まえ、同+0.3兆円増の3.3兆円とした。また、「公的部門」(日銀乗換)は、日本銀行が保有する国債が満期を迎えた際に、その一部について国会の議決を経た金額の範囲内で借換債を引き受ける制度である。平成30年度は、国債発行総額や市場環境等を踏まえ、同▲0.5兆円減の2.5兆円となっている。(3)年限別発行額カレンダーベース市中発行額の年限別発行額については、市場のニーズも踏まえ、バランスの取れた減額をしている(表3)。具体的には、超長期債(20年、30年、40年債)については、足元幅広い投資家のニーズがあるため、2年連続で減額してきた20年債を現状維持とする一方、これまで増額してきた30年債、(表2)平成30年度国債発行予定額〈発行根拠法別発行額〉(単位:億円)〈消化方式別発行額〉(単位:億円)区  分29年度当初29年度補正後30年度当初区  分29年度当初29年度補正後30年度当初(a)(b)(b)-(a)(c)(c)-(a)(c)-(b)(a)(b)(b)-(a)(c)(c)-(a)(c)-(b)新規国債343,698355,54611,848336,922▲6,776▲18,624カレンダーベース市中発行額1,412,0001,413,0001,0001,342,000▲70,000▲71,000建設国債60,97072,81811,84860,940▲30▲11,878第Ⅱ非価格競争入札等74,62089,09714,47785,00010,380▲4,097特例国債282,728282,728-275,982▲6,746▲6,746年度間調整分▲6,987▲8476,14013,85620,84214,702復興債15,1459,889▲5,2569,563▲5,582▲326市中発行分計1,479,6331,501,25021,6171,440,856▲38,778▲60,395財投債120,000120,000-120,000--個人向け販売分30,00030,000-33,0003,0003,000借換債1,060,7901,075,81515,0251,032,371▲28,420▲43,445公的部門(日銀乗換)30,00030,000-25,000▲5,000▲5,000うち復興債分19,11828,7909,67218,587▲531▲10,203合  計1,539,6331,561,25021,6171,498,856▲40,778▲62,395国債発行総額1,539,6331,561,25021,6171,498,856▲40,778▲62,395※1 平成30年度の市中からの買入消却については、総額1兆円程度を上限に実施(具体的な実施方法は、市場参加者との意見交換を踏まえ、市場の状況を見ながら決定)※2 平成30年度における前倒債の発行限度額は55兆円(注1)各計数ごとに四捨五入したため、計において符合しない場合がある。(注2)カレンダーベース市中発行額とは、あらかじめ額を定めた入札により定期的に発行する国債の4月から翌年3月までの発行予定額(額面)の総額をいう。(注3)第Ⅱ非価格競争入札とは、価格競争入札における加重平均価格等を発行価格とする、価格競争入札等の結果公表後に実施される国債市場特別参加者向けの入札をいう(価格競争入札等における各国債市場特別参加者の落札額の15%を上限)。第Ⅱ非価格競争入札に係る発行予定額については、当該入札を実施する国債(40年債、30年債、20年債、10年債、5年債、2年債及び10年物価連動債)のカレンダーベース市中発行額の7%を計上している(平成29年度補正後は実績を反映した上で計上)。第Ⅱ非価格競争入札等として、平成29年度補正後以降は、第Ⅱ非価格競争入札に係る発行予定額のほか、カレンダーベース市中発行額と実際の発行収入金との差額の見込みを計上している。(注4)年度間調整分とは、前倒債の発行や出納整理期間発行を通じた、前年度及び後年度との調整分をいう。ファイナンス 2018.215平成30年度予算特集1平成30年度国債発行計画について 特集

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る