ファイナンス 2018年2月号 Vol.53 No.11
18/60

本稿では、昨年12月22日に公表した平成30年度国債発行計画の内容を中心として、来年度の国債管理政策の概要を説明したい。1.現下の国債市場の状況平成29年は、堅調な経済の下、企業収益の改善等を背景に世界的な株高となり、米国等では政策金利の引き上げが実施されるなど、金利上昇圧力がかかる状況となったが、インフレ期待は高まらず、主要国の長期金利は安定的な動きで推移。米長期金利は、2.2%から2.4%のレンジを軸に推移し、我が国の長期金利については、日本銀行の「イールドカーブ・コントロール」政策の下、概ね0%から0.1%程度の間という、極めて狭いレンジ内での推移となった。我が国における各年限の金利の動きを見ると、超長期ゾーンでは、2016年11月の米大統領選を契機に、金利が比較的大きく上昇。その後も、金利が高止まりする中で、20年超のイールドカーブがスティープ化。また、中短期ゾーンの金利は、日銀がT-Billの買入を減額していること等を受け、年央以降上昇傾向となった。2.平成30年度国債発行計画の概要以上のような市場環境等を踏まえ、平成30年度国債発行計画を策定した(表1)。(1)発行根拠法別発行額平成30年度の国債発行総額は、平成29年度当初と比べ▲4.1兆円減の149.9兆円となった。発行根拠法別(表2、左表)の内訳をみると、まず一般会計予算の歳入となる建設国債と特例国債は、前年度当初比▲0.7兆円減の33.7兆円となった。復興債は、東日本大震災からの復興のための施平成30年度国債発行計画について理財局国債企画課長 辻 貴博(表1)平成30年度国債発行計画の概要〈発行根拠法別発行額〉(単位:兆円)区  分30年度対29年度当初新規国債(建設・特例国債)33.7▲ 0.7復興債1.0▲ 0.6財投債12.0-借換債103.2▲ 2.8国債発行総額149.9▲ 4.1〈消化方式別発行額〉(単位:兆円)区  分30年度対29年度当初市中発行分144.1▲ 3.9通常の入札による市中発行額134.2▲ 7.0入札時の追加発行分・超過収入 等9.93.1個人向け販売分3.30.3日銀乗換2.5▲ 0.5合計149.9▲ 4.1〈年限構成(通常の入札)〉(単位:兆円)区 分30年度対29年度当初40年債2.4▲ 0.630年債8.4▲ 1.220年債12.0-10年債26.4▲ 1.25年債24.0▲ 2.42年債25.2▲ 1.21年割引短期国債21.6▲ 2.210年物価連動債1.6-流動性供給入札12.61.8合計134.2▲ 7.0=14ファイナンス 2018.2特集

元のページ  ../index.html#18

このブックを見る