ファイナンス 2018年1月号 Vol.53 No.10
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執行官として開催され、その後も松方正義(明治10年など11回)、桂太郎(明治41年~43年)、高橋是清(大正2年、8年)、浜口雄幸(大正13年~14年)らを執行官として回数を重ね、今回が146回目である。3大試験の実施方法(1)対象貨幣の選定大試験において量目の秤ひょう量試験を受ける貨幣は、大試験用貨幣と呼ばれる。これは、貨幣の種類ごとに、毎日の製造枚数に応じて一定割合(例:通常の500円ニッケル黄銅貨幣の場合、30,000枚又はその端数につき1枚の割合)で抜き取られたもので、一週間分ごとにまとめて袋に封入・保管される。大試験当日、執行官がこの大試験用貨幣の入った袋を開封して試験を実施する。今回の大試験には、昨年の大試験実施後の一年間に製造された500円、100円、50円、10円、5円及び1円の通常貨幣並びに2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念1,000円銀貨幣*5及び第8回アジア冬季競技大会記念1,000円銀貨幣*6の計8種類(記念貨幣を図柄別(資料)に換算すると計9種類)の貨幣が試験に供された。(2)大試験貨幣の秤量秤量試験は、原則として一定の枚数ごとの集合秤量により行われるが、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念1,000円銀貨幣及び第8回アジア冬季競技大会記念1,000円銀貨幣については1枚ごとに個別秤量が行われた。集合秤量には大型の両皿天秤を、個別秤量には電子天秤を用いて秤量単位ごとに量目を計測し、計測された量目と法定量目との差が、大試験要領に定められている公差(例:通常の500円ニッケル黄銅貨幣の場合、貨幣1,000枚(7,000グラム)当たり±13グラム)の範囲内にあるかどうかを確認する。秤量結果が公差の範囲内にあることが確認されれば、大試験の対象となった貨幣は、すべて適正に製造されたものと認められる。*5)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の機運を醸成するため、平成28年7月に2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会記念貨幣の第1弾として、リオデジャネイロから東京への開催都市の引継をテーマとする1,000円銀貨幣(引継記念貨幣)を発行(造幣局における通信販売の申込期間は終了)。また、今後、平成30年11月頃から大会開催直前(平成32年7月)にかけて、10,000円金貨幣、1,000円銀貨幣及びその他貨幣(500円・100円)合わせて30種類程度を4回に分けて発行予定。*6)第8回アジア冬季競技大会(2017/札幌)の開催(平成29年2月19日~26日)を記念し、1,000円銀貨幣を発行(造幣局における通信販売の申込期間は終了)。 写真1:大試験貨幣袋の開封写真3:電子天秤による秤量写真2:両皿天秤による秤量ファイナンス 2018.112第146次製造貨幣大試験についてSPOT

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