ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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連 載|海外経済の潮流米国経済は個人消費が牽引する形で回復が続いているが、個人消費が堅調な伸びを続ける中、米国の消費者マインドも高い水準を維持している。本稿では、消費者マインドを表す主な経済指標として注目度が高い、全米産業審議会*1が公表している消費者信頼感指数である「Consumer Condence Index(以下「CCI」)」について取り上げる。CCIは、毎月最終火曜日に当月分が公表される速報性の高い統計である。調査サンプル数は約3,000世帯(サンプル数が約3,000世帯となるよう対象調査世帯は約5,000世帯)とし、毎月1日頃に調査票を対象世帯へ送付する。そして、18日頃までに得られた回答を、公表値に反映させ、その後に回収した回答は、翌月分の公表時に合わせて、前月分の遡及改定として反映される仕組みとなっている【図1】。次に各調査世帯に送付される調査票の質問項目について述べる。質問内容は、現状の「景況感」、「雇用状況」、および将来(6カ月先)の「景況感」、「雇用状況」、「所得」について、それぞれ「良い」、「悪い」、「どちらでもない」を問う方式となっている。そして、現状に関する2項目(「景況感」、「雇用状況」)について集計したものを『現状指数』、将来に関する3項目(「景況感」、「雇用状況」、「所得」)を集計したものを『期待指数』として公表するほか、現状と将来の全5項目を平均したものを『総合指数』として公表している*2,*3【図2】。CCIの総合指数の推移を見てみると、リーマンショック後の2009年2月の25.3を底に改善が続いており、足もとでも良好な雇用・所得環境等を反映し、2017年10月分は125.9とリーマンショック以前の水準(111.9(2007年7月))を超える高水準で推移するなど、米国の消費者マインドが好調であることを示している(2017年11月21日時点)【図3】。米国の個人消費の先行きを占う上では、消費者マインドの動向を把握することは重要であると思われ、今後も本指標の動向については注視していきたい。(注)文中、意見に係る部分は全て筆者の私見である。コラム 海外経済の潮流105大臣官房総合政策課 海外経済調査係 保倉 拓人米国の消費者信頼感指数*1)経済団体や労働組合などで構成する米国の非営利の民間調査機関である。カンファレンスボード(Conference Board, Inc.)と呼ばれることもある。*2)カンファレンスボードはCCIに付随して、住宅や自動車、家具の購入に関する計画や、休暇中の旅行の計画、インフレの見通しに関する調査結果も公表している。*3)(当月において(「良い」と回答した者の割合)÷(「良い」と回答した者の割合+「悪い」と回答した者の割合))で得られる数値を、1985年を基準年として指数化している。【図1】 消費者信頼感指数(CCI)の概要Consumer Condence Index(参考)Consumer Sentiment Survey公表元全米産業審議会ミシガン大学サーベイ・リサーチセンターサンプル数約3,000世帯(調査対象は約5,000世帯)速報 約300人確報 約500人公表日当月最終火曜日速報 当月第2金曜日確報 当月最終金曜日【出典】各種資料を基に筆者作成40ファイナンス 2017.12

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