ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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でも、最近は、欧米のスタッフの中に赴任当初一緒に来ていたパートナーが自国に戻っているケースが増えています。世界の潮流は、若くても単身赴任の方へ収束しつつあり、これは個々人のキャリア追求の可能性が日々増しているためだと思います。そもそもアメリカでは、パートナーの一方が東海岸、もう一方が西海岸で週末会うという、long distance relationshipは昔からあります。そこで、パラダイム転換、高付加価値型単身赴任の提案です。そもそも、パートナーのキャリアとの両立を悩まないで、どう単身赴任するかから考え始めたら如何でしょうか? それに関連して、幾つか皆さんに是非知っていただきたいことがあります。まず、乳幼児期の育児は、赴任先途上国での方が簡単かもしれないということ。赴任先途上国では、ベビーシッター、運転手さん等の人出がふんだんにあります。そして、育児世代の親御さん達は皆、自然に連帯しています。マニラには、お子さん連れのママ単身赴任がたくさんいらっしゃいますが、最近は小さいお子さんとパパの組み合わせの単身赴任も増えて来ました。海外単身赴任初めてでも、乳幼児連れは可能です。赴任先には、どこにも日本人コミュニティがあって、皆で協力していますので、温かく応援してくれると思います。アフリカのアビジャンの日本人コミュニティは150人だけでしたが、江戸の長屋のような人情にあふれていました。次に、今やアフガニスタンの現場でもインターネットが通じます。日本より時間の自由がきくので、単身赴任でも日本に居る時より頻繁にコミュニケート出来るかもしれません。最近帰国したアジア開発銀行日本ソフトボールチームのエースでスターの実話です。このスター、帰国前の最終日韓戦では片足完全に肉離れしながら、熱投と豪打で両チームの感動を呼んだ(そして翌日は文字通り運転手さんに担がれて職場に運ばれた)という猛者ですが、毎晩9時から1時間、愛する奥様とスカイプしていました。彼の帰任と飛行機が一緒になり、とても素敵な奥様にお会いして、危うく「夜9時の奥様ですよね。」とご挨拶しそうになりました。そして、高付加価値型単身赴任の理想のコース、日本のカップルもこうなって欲しいという話。先日、日本の大学院からのインターンを週末のダイビングに誘ったら、「すいません、友人と台北に行きます。」という返事。そうか、日本の男性も、ついに彼女と中間点(お手許の地図を開いてみてください、台北はちょうど東京とマニラの中間点です)で週末逢瀬が出来るところまで成長したかと感動しようと思ったところ、このケースは、同級生の男性の友人の話でした…。海外赴任とパートナーのキャリアの両立の選択肢は、高付加価値単身赴任、新しいビジネスを見つける、学業と、たくさんあると思います。二人日韓ソフトボール熱戦の後の笑顔アフガニスタンで完成した鉄道でファイナンス 2017.1235海外ウォッチャーFOREIGN WATCHER連 載|海外ウォッチャー

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