ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
30/56

2年間の所長の任期延長は認められましたが、国際機関設立協定の署名に向けてB国の国内手続きが停止しているという問題に直面することになります。B国の憲法上の問題へどう対処 するか(2014年5月)前回述べたように、2年間の所長任期延長が2014年5月の財務大臣と中央銀行総裁会議(於カザフスタン)の機会に認められました。カザフスタンで任期の延長の決定に当たって、自分が知る範囲において、個別国からも全体からも何ら条件が付くことはなく、所長が最善と思うやり方で早期に国際機関化への道筋をつけてほし444444444444444い4、という声が多数でした。「道筋をつけてほしい」という言い回しになったのは、前年(2013年)後半以来約半年にわたりB国の国内事情により設立協定の手続きが頓挫していたためです。設立協定の各国間の協議は前年の11月に終了し、全ての文言が確定しており、5月のカザフスタンは財務大臣が署名式を挙行する絶好の機会でした。ところがB国で前年12月以来下院が解散された状態が続き、署名式は不可能でした。B国では国際機関を作る はなしASEAN+3マクロ経済 リサーチ・オフィス(AMRO)創設見聞録その10、国際機関設立協定の 署名式への道のり(1) (2014年春~2014年秋)根本 洋一図1 ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)の設立経緯(2008年~2016年)2008年2011年2012年2013年2014年2015年2016年国際機関化サーベイランス経済の調査・分析危機対応の枠組み2008年9月リーマン・ショック↓2009年2月ASEAN+3財務大臣特別会議2011年4月AMRO(カンパニー)設立2011年11月サーベイランス開始2016年2月国際統計整備支援開始2012年5月国際機関化検討の指示2014年10月協定案に署名2015年~各国議会による協定の承認2010年3月CMIM(契約の一本化)発効2016年2月国際機関の創設2013年5月~資本フロー動向に焦点2016年2月CMIM事務局としての機能開始2013年5月~バーナンキ議長発言による市場の混乱2015年8月~人民元切り下げに伴う市場の混乱2011年8月~米国債格下げに伴う市場の混乱26ファイナンス 2017.12連 載|国際機関を作るはなし

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る