ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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公表されたコミュニケにおいては、①持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、公的投資と民間投資の双方を動員し開発資金を最大限確保していくこと、②長期的な発展の基礎となる保健、栄養、教育、社会的な保護やジェンダーの格差の解消に引き続き取り組んでいくこと、③気候変動、移住・強制避難、脆弱・紛争・暴力、パンデミック、自然災害、極度の気象といったリスクに対する強靭性を確保すること等の重要性が認識され、こうした開発課題への対応について、世銀グループが国際的な開発分野でのリーダーとして引き続き積極的に取り組んでいくことが期待された。また、世銀グループの投票権見直しについては、これまでの進捗報告が歓迎され、理事会に対し、選択肢の更なる検討のための作業を継続し、2018年の春会合までに議論を成功裏に結論に導くことを求めた。また、世銀グループの資本基盤強化については、2018年の春会合で合意に至ることを目指し、理事会とマネージメントに対し、資本基盤強化のあらゆる選択肢を検討し、自助努力や一般増資・特別増資を含む方策のパッケージを総務の検討のために取りまとめることを求めた。5余談(ショイブレ独財務相退任に際して)余談ではあるが、2017年にG20議長国を務めたドイツのショイブレ財務相にとっては、任期8年の集大成となる最後のG20であった。G20翌日のIMFC会合では、連邦議会に初当選した1972年当時のポートレート写真がスクリーンに披露され、暖かな労いの言葉が贈られるワンシーンも見られた。ショイブレ独財務相は「ショイブレ節」と言われるほど鋭い論客としてG20の名物であったが、参加した誰もが何らかの感慨を覚える一幕であったのではないだろうか。また、日本の財務省職員としてなんとも印象的であったのは、G20後の記者会見において、ショイブレ独財務相より「麻生太郎がいなくて残念」である旨の発言があったことだ。麻生大臣の在任期間も、2012年末の就任以来5年近くが過ぎた。長年同じ舞台を経験してきた麻生大臣とショイブレ財務相には、何か通じ合うものがあったのだろう。ファイナンス 2017.1221国際会議の概要について2017年10月12-14日開催、於:アメリカ・ワシントンD.C.SPOT

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