ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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本年10月31日から11月2日にかけて、東京・お台場で6回目となる「WCO技術革新フォーラム」*1が開催された。諸外国からの税関職員を含む約440人が参加し、24社(うち7社が日本企業)が展示に参加するなど、盛況のうちに終わった。以下、本稿では、WCO技術革新フォーラムについて紹介したい。1概要近年、税関当局を取巻く状況は急速に変化しつつある。グローバル経済の更なる進展や電子商取引など新たなビジネスモデルの発展に伴い、多くの国において輸出入貨物量及び申告件数が増加する傾向にある一方、テロ等の脅威は依然として深刻であり、税関当局は、「迅速な通関」と「安心安全の社会の確保」という二つの使命の両立といった困難な状況に直面している。本フォーラムは、これに対応することを迫られている税関当局に、広く開かれた形で当局と民間の意見交換の場を提供するとともに、意見交換を通じて民間の革新技術の進展を促そうとの観点から、2009年に第1回目が開催された。以来、今回まで1~2年ごとに定期的に開催されている。フォーラム冒頭、御厨WCO事務総局長は、国境管理がますますデジタル化している中、税関当局が税関にとってインパクトの大きい技術動向を理解し、それに備えることが極めて重要であると指摘し、フォーラムの開会を宣言した。続いて、長峯財務大臣政務官は、新たな技術の開発、導入を着実に進めていくことは重要であり、本フォーラムは、税関における技術革新をテーマに官民が直接対話する貴重な機会になっている点に意義があると述べた。Spot02*1)WCO(世界税関機構:World Customs Organization)各国の税関制度の調査・統一及び国際協力の推進により、国際貿易の発展に貢献することを目的として、1952年に設立された国際機関(本部はベルギー、ブリュッセル)。2017年11月現在、182か国・地域がメンバーとなっており、我が国は1964年に加入した。事務総局長は、御厨邦雄氏が務めている。第6回WCO技術革新フォーラムの開催について関税局第二参事官室 課長補佐 水沼 徹夫関税協力係長 金持 利恵〈写真資料1〉御厨WCO事務総局長(左)〈写真資料2〉開会式で挨拶する長峯大臣政務官16ファイナンス 2017.12SPOT

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