ファイナンス 2017年12月号 Vol.53 No.9
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3緊急対策の概要本緊急対策の基本的な考え方は、①迅速で円滑な通関を確保しつつ、これまでにない広範で厳格な密輸取締りを行うこと、②関係省庁と緊密に連携し総合的な対策をとること、③緊急かつ抜本的な対策として早急に実施することを主眼としており、各論では大きくは3つの柱から構成される。(1)検査の強化第一の柱は、検査の強化であり、旅客や貨物に対して一層厳格な取締りを行うため、これまでの取締方法の総点検を行い、水際において徹底した検査を行うものである。その際には、新たな検査機器を導入するなど、迅速で効率的な検査も目指すこととしている。例えば、入国時の税関検査において門型金属探知機*5を利用し、迅速な通関を図りつつ、従来以上に厳格な検査を行うこととしている。更には、密輸した金を国内の金買取店で換金し、多額の現金を携帯品として無申告で国外へ持ち出す事案もあることから、関係機関等と連携して取締りを強化することとしている。(2)処罰の強化第二の柱は、処罰の強化であり、摘発した金密輸事件について、組織性や反復性を踏まえて処罰を強化するものである。これは、警察・検察庁・*5)門型金属探知機は、空港においては出発時の保安検査において利用されているが、これまで入国時の税関検査においては利用されていなかった。図4 犯則者の国籍別構成比日本51%韓国22%中国(香港・マカオ含む)18%マレーシア4%台湾2%その他3%日本62%韓国12%中国(香港・マカオ含む)14%マレーシア5%その他7%韓国32%中国(香港・マカオ含む)27%日本20%台湾14%マレーシア4%その他3%平成28事務年度平成27事務年度平成26事務年度平成26事務年度から平成28事務年度にかけて韓国人・中国人・台湾人の割合が増加。日本人の割合は大幅に減少。図3 密輸仕出地別処分件数1718822170135110561633271591199221916050100150200250300350400450500平成28事務年度平成27事務年度平成26事務年度(件)香港台湾シンガポール中国マレーシアタイマカオその他韓国3年間で約8倍韓国・香港で全体の7割12ファイナンス 2017.12SPOT

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