ファイナンス2017年11月号 Vol.53 No.8
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受取配当金の増加が経常利益に寄与最近10年間の日本企業の動向をみるために、年次別法人企業統計調査の結果を用いて、日本企業全体の平成28年度と18年度の損益計算書と貸借対照表を作成し、比較を行ってみました。初めに損益計算書をみると、平成28年度の「売上高」は1,455.8兆円と、18年度の1,566.4兆円に比べ、10年間で110.7兆円減少しました(図表4参照)。一方、「経常利益」は「営業外収益」が9.3兆円増加したことなどにより、20.6兆円増加し75.0兆円となっています。「売上高」の減少の要因を確認するため、業種別に寄与度をみると、製造業では「電気機械器具製造業」(-1.1%ポイント)など、非製造業では「卸売業」(-2.9%ポイント)などの寄与が大きくなっています。薄型テレビなどの生産減少※9や、10年前と比べると原油などの資源価格が相対的に低いため※10、販売価格も低下していることなどが要因※11とみられます。一方、経常利益の増加について、業種別にみると、製造業では「自動車・同附属品製造業」(3.1%ポイント)など、非製造業では「純粋持株会社」(13.6%ポイント)などの寄与が大きくなっています。ともに「営業外収益」が大きく増加したことが、経常利益を押し上げる要因となってい最近10年間の日本企業の損益計算書と貸借対照表の推移図表4 損益計算書の推移(単位:兆円、%、%ポイント)平成18年度平成28年度差増加率製造業・非製造業別寄与度上位2業種(注)製造業(-3.5) 電気機械器具製造業(‐1.1) 石油製品・石炭製品製造業 (‐0.5)非製造業(‐3.6) 卸売業(‐2.9) 娯楽業(‐2.3)製造業(16.1) 自動車・同付属部品製造業(8.3) 情報通信機械製造業(2.8)非製造業(30.1) 純粋持株会社(20.2) 不動産業(3.8)製造業(0.5) 自動車・同付属部品製造業(3.1) 食料品製造業(1.3)非製造業(37.4) 純粋持株会社(13.6) 建設業(7.2)売上高1566.41455.8-110.7-7.1売上原価1219.61086.8 -132.8-10.9販売費及び一般管理費297.6310.212.64.2営業利益49.358.79.419.2営業外収益20.229.5 9.346.1営業外費用15.113.3-1.8-12.2経常利益54.475.020.637.9特別利益13.911.2-2.7-19.6特別損失19.318.4-0.9-4.9税引前当期純利益49.067.818.838.4法人税、住民税及び事業税19.118.1-1.0-5.1法人税等調整額1.7-0.1-1.8-103.8当期純利益28.249.721.676.6(注)平成21年度に業種区分の変更があったため、括弧内の業種別の寄与度の算出においては下記の調整等を行っている。①新設された「純粋持株会社」は平成18年度の計数を「0」として寄与度の算出をした。②「はん用機械器具製造業」、「生産用機械器具製造業」及び「業務用機械器具製造業」は合算し「機械器具製造業」として寄与度を算出した。③平成20年以前の業種と接続が困難な「広告業」、「その他の学術研究、専門・技術サービス業」、「職業紹介・労働者派遣業」及び「その他のサービス業」は寄与度上位の順位から除いた。(出所)財務省年次別法人企業統計調査ファイナンス 2017.115平成28年度年次別法人企業統計調査結果と調査からみた企業動向特集

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