ファイナンス2017年11月号 Vol.53 No.8
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コラム 経済トレンド41大臣官房総合政策課 平野 龍介/大橋 薫今次景気回復局面について本稿では、回復が続く日本経済の現状について、過去の景気回復局面との比較に着目しながら、その特徴についてまとめた。日本経済の現状・日本経済は、2012年11月を底に回復基調が続いている。今次回復局面は、2017年9月以降に景気の「山」が設定されることで、バブル景気、いざなぎ景気を抜いて戦後2番目の長さとなる可能性がある。(①)・この今次回復局面では、実質GDP成長率の伸びは過去の景気回復局面よりも弱いが、直近の第14循環における名目GDPと実質GDPの逆転状態を解消できている。(②)・以下、他の経済指標の比較により、今次回復局面の特徴について分析した。①景気動向指数(一致指数)の推移6070809010011012013085909500051015今次回復局面12/12~第14循環02/2~08/273ヶ月バブル景気86/12~91/251ヶ月(2010年=100)(年)※シャドーは景気後退期※いざなぎ景気:1965/11~1970/7の57ヶ月間②GDP成長率0510152025303540020406080100120140いざなぎバブル第14循環今次回復局面目盛右(%)(%)名目GDP実質GDP※季節調整系列、各期間における伸び率雇用・所得環境の改善・過去の景気回復局面と今次回復局面を比較すると、雇用の面では、失業率が大きく改善しており、有効求人倍率もいざなぎ・バブル景気に並んで大きく上昇している。(③)・また、今次回復局面では、女性や高齢者等の労働参加が進むことで、人口減少下にありながらも就業者数が大きく増加している。(④)・所得の面でも、雇用者数の増加も寄与して雇用者報酬は第14循環を上回って上昇しており、安定した雇用・所得環境が今次回復局面を下支えしているといえる。(⑤)③失業率と求人倍率失業率の低下幅求人倍率の増加幅(%ポイント)(%ポイント)0.00.20.40.60.81.0いざなぎバブル第14循環今回0.00.51.01.5いざなぎバブル第14循環今回※各指標の比較は、各拡張期間の前月(谷)から最終月(山)における変化差。今次回復局面は17年7月までの数値を用いている。④人口動態と就業者数0100200300400500いざなぎバブル第14循環今回▲1000100200300400500いざなぎバブル第14循環今回就業者数の増加数総人口増加数(万人)(万人)⑤雇用者報酬100120140160180200220240951001051101151201251301351四半期51525(景気回復に入った四半期=100)(経過四半期数)いざなぎ景気(右軸)バブル景気第14循環今次回復局面※名目季節調整系列40ファイナンス 2017.11連 載|経済トレンド

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