ファイナンス2017年11月号 Vol.53 No.8
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また、海外進出日本企業から現地人材への日本語教育に対するニーズが増加。企業サイドのニーズは、海外ばかりではなく、日本で仕事をする外国人についてもあり、技能実習制度・EPAなど、日本への受け入れ人材の育成のための日本語教育ニーズが増加。特に東南アジアでは、民間日本語教育機関の学習者が増加。学習方法も多様化しており、かつては教育機関で学習するしかなかったが、インターネットやeラーニング等での学習者も一定数存在。日本語の無料学習サイトも充実し、海外にもファンの多いアニメ・マンガの日本語を通じて自習できるサイトもある。以下、具体的な日本語教育の取り組みについて少し御紹介する。6日本語パートナーズ派遣JETプログラムという外国語教育の充実と地域の国際交流の推進を図るプログラムがある。関係省庁等の運営協力の下、地方自治体が外国青年を招致し自治体や学校で任用するもの。多くの経験者が、親日派・知日派として様々な分野で活躍している。逆に日本人が外国に長期間滞在し、外国の学校での日本語教育を助けるいわば、「逆JETプログラム」が日本語パートナーズ派遣である。2014年から2020年までの7年間で3千人以上の日本語母語話者を、現地の日本語教師や生徒の日本語学習のパートナーとしてASEANを中心とするアジアに派遣する。彼らは、現地日本語教師のアシスタントとして授業をサポートしたり、日本文化の紹介を通じて、派遣先の生徒や地域の人たちと交流し、また、現地の言葉や文化を習得する。これにより、生徒の学習意欲が高まり、受入機関側の日本語学習が広がり、日本への関心が上昇。派遣者もアジアでの仕事や生活経験を通じてグローバル人材になる。満20歳から満69歳で日本国籍を有すること、日常英会話ができることなどの要件を満たせば、経験は問わず、誰でも応募できる。約1か月の派遣前研修で生活や活動に必要な現地語、現地事情などの知識を身につけることができ、給料はないが、滞在費、旅費などが支給され、住居も提供。対象年齢層は幅広いが、最大1年程度の長期のため、学生かリタイアした人の応募が多い。若い人にはグローバル人材となるチャンスに、シニアの人にはこれまでの経験を活かす機会になる。シニアは男性も多いが、若い人は圧倒的に女性が多い。シニアの例だと、今年3月までインドネシアの高校に派遣されていた68歳の山崎芳裕さんは、現地で大歓迎を受け、7か月の滞在を終え、帰国時には、全授業を中止し4時間もの全校送別イベントが開催されたという。若い人の中には、マレーシアに派遣された人で、その後外務省職員になった人もいる。最近では、例えば、タイ教育省の要望により、職業高校に長野高専の生徒や教員を派遣し、ロボコン(全国の高専対抗のロボットコンテスト)経験者の体験談など高専生ならでは文化紹介も実施。長野高専では、日本独自の高専教育モデルをタイに「輸出」することも目指しているという。7EPA経済連携協定(EPA)に基づくインドネシア、フィリピン及びベトナムからの看護師・介護福祉士候補者については、よく報道されるので、ご存知の方も多いと思う。これは、原則として外国人の就労が認められない分野において、経済活動の連携の強化の観点から、2国間の協定に基づき、公的な枠組みで特例的に受け入れているもの。看護師は3年間、介護福祉士は4年間の滞在期インドネシアの高校にて、山崎芳裕さんの送別会ファイナンス 2017.1135厚切りジェイソンやパックンも受けた日本語能力試験と日本語教育 世界中から87万人が応募!SPOT

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