ファイナンス2017年11月号 Vol.53 No.8
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1国際預金保険協会(IADI)の概要国際預金保険協会(IADI:「アイアディ」と発音するのが一般的)は、①預金保険分野における国際協力の推進や預金保険制度のガイダンスの提供により金融システムの安定に貢献すること、②預金保険機関、その他関係機関の国際交流を広げていくことを目的として平成14年5月に設立され、我が国預金保険機構も設立当初より加盟した。IADIはスイス法に基づいて設立された非営利団体で、IADI事務局はスイス・バーゼルの国際決済銀行(BIS)にある。加盟機関数は現在までに100を超えた。金融危機を経て、セーフティーネットとしての預金保険の分野における国際協力の必要性が高まっている。当機構はIADIの活動に積極的に参画し、我が国の預金保険制度の拡充・強化の参考とするための国際動向の把握に努めるとともに、我が国の預金保険制度等を紹介することにより国際的な認知度向上に努め他の加盟機関との相互理解を深めてきた。例えば、国際的に合意された預金保険制度の基本原則として平成21年6月にIADIとバーゼル銀行監督委員会と共同で作成・公表した「実効的な預金保険制度のためのコアとなる諸原則(コア・プリンシプル)」の改訂作業についても当機構は積極的に参画し、以て平成26年11月にはIADIが主体となって改訂版コア・プリンシプルを作成・公表するに至っている。2三國谷預金保険機構理事長のIADI会長への就任去る10月12日午後(現地時間)にカナダ・ケベックシティで開催されたIADIの年次総会において、当機構の三國谷勝範理事長がIADI会長に選出され、即日で就任した(我が国以外の立候補はなく、信任投票により満場一致で選出)。IADI会長は、対外的にIADIを代表する他、IADIの実質的意思決定機関である業務執行委員会の議長も兼任することとなる。当機構は、担当理事がIADI設立当初の平成14年5月より業務執行委員会の委員およびアジア太平洋地域委員会の議長を務めるなど、IADIの活動に積極的に参画してきた。三國谷理事長は5代目のIADI会長となるが、IADI会長がアジア地域から選出されるのは今回が初めてとなる。IADI会長を担ぐ当機構としては、IADIでの経験、また我が国における破たん処理等の経験も活かして、個々のメンバー・地域の多様性を踏まえつつ、丁寧且つ透明な議論を重ねた上で、預金保険分野における国際協力の一層の推進に努めてまいりたい。(文中意見にわたる部分は筆者の私見である。)Spot04預金保険を巡る国際的な動き―三國谷預金保険機構理事長の国際預金保険協会(IADI)会長への就任について―預金保険機構 国際統括室長  佐藤 宣之預金保険機構の ロゴマーク28ファイナンス 2017.11SPOT

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