ファイナンス 2017年10月号 Vol.53 No.7
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国の財政赤字を埋めるため 普通国債発行残高は約865兆円に国を運営するために必要な資金の多くは、家計や企業から税金として集められています。国の会計は、一般会計と特別会計に分かれ、国民が納める税金は、その大半が一般会計として管理され、その使い道が決められます。税金の使い道を見ると、一般会計の歳出のうち、社会保障関係費が約3分の1を占めています。これに、地方交付税交付金等、国債費を合わせると、全体の7割を超えることとなります。地方交付税とは地方自治体の収入の格差を少なくするために、交付される資金のことです。公債費は満期になった国債などを償還する費用や利子の支払いなどに必要な資金です。一方で歳入面を見ると、国民が納める税金は必要な予算の6割程度で、約3分の1を借金(公債金収入)でまかなっている状況です。このように国の財政は、歳出が税収等を上回る財政赤字の状況が続いています。この差額を埋めるため、政府は公債金を利用して資金調達をしています。日本の普通国債発行残高は平成29年度末時点で約865兆円に達する見込みです。日本の国債管理政策の基本目標国の財政を維持するために必要な資金調達(フロー)や債務の残高(ストック)は適切に管理していかなければなりません。これを「債務管理」といい、また、債務管理を具体的にどのように行っていくかを「債務管理政策」といいます。IMF・世界銀行が2001年に公表した「公的債務管理のための指針」では、公的債務管理政策の目的として「必要な財政資金の調達において、リスクを適切な水準に抑えた上で、中長期的視点から政府の資金調達コストを最小化すること」があげられています。リスクを適切な水準に抑えることは、マーケット・リスク、借換リスクなどの各種リスクを適切にコントロールし、確実に財政資金の調達を図ることを意味します。これを踏まえ、日本においては①国債の確実かつ円滑な発行②中長期的な調達コストの抑制の2つを国債管理政策の基本目標としています。国債の確実かつ円滑な発行と中長期的な調達コストの抑制を目指す国の財政と債務管理平成29年度の国の歳出と歳入(一般会計)平成29年度の収入不足分32兆4,735億円15兆5,671億円23兆5,285億円3項目で歳出の約7割租税及び印紙収入57兆7,120億円公債金34兆3,698億円歳入歳出国債費その他防衛文教及び科学振興公共事業地方交付税交付金等社会保障ファイナンス 2017.103債務管理リポート2017に見る円滑な国債発行を支える債務管理と財務省の役割特集

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