ファイナンス 2017年10月号 Vol.53 No.7
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夏季職員トップセミナー その際に頭の中で起こっていることを簡単な発想の公式として置きかえてみました。それがこの公式です。(A-1)×B=文脈何かを引いて、何かを掛ける。カッコをつけて先に引くということを重視しています。引くことは非常に日本的です。例えば俳句などもそうですよね。限られた文字数の中に思いを込めることで長い文章を書くよりも伝わる。美しい文章に仕上がる。引き算の美学とも言われます。大切なものをまず潔く引く、その後掛ける、すると全く新しいものが生まれはじめます。Aに入るものは自分の領域や、専門分野にしてみましょう。私の場合は書ですね。次にBには何か興味のあるもの入れて掛ける。それが文脈に則っていれば長持ちすると思っています。重要なのは、まず引くことですね。最初から足したりとか、掛けたりとかしないこと。よくあるのは、AとBを一緒にして、コラボレーションしましたよとしてしまうこと。それはただ一緒にしただけかもしれませんので、それだけでは長持ちは難しい。ですので、最初から足したり掛けたりせず、まずは引きます。同様に大事にしていることは、自分の浅はかな経験値や、頭脳に考えを頼りすぎないようにしています。たくさんの人の経験値や、たくさんの人の知恵も活用させていただいております。では、例えば、書から一つの重要な要素を引きます。書は「紙に書くもの」ということを引いてみます。書は、紙に固定されたものという思い込みをぬぐい去り、新しい手法で表現するきっかけをつくります。それでは、実践してみましょう。例えば、Aが銀行だとします。ではBは何か。銀行で一番重要なものは現金ですので、銀行から現金を引きます。そこにITを掛け合わせる。そうするとどうなるでしょうか? ネット銀行だったり、電子マネーだったり、新たな現金ではない概念が誕生します。(銀行-現金)×IT=ネット銀行、電子マネーまず最も重要なものを抜き去ることが、全く新しいものを生み出す発想に重要です。皆さんと一緒に考えてみたいことがあります。先日キユーピーマヨネーズの方とお会いしました。マヨラーと呼ばれる人たちのおかげで、ご飯にでも何にでもマヨネーズをかけることで売上が大きく伸びました。その後の健康志向でマヨネーズの売上は減少の一途だそうです。お弁当にマヨネーズを入れると、熱で緩くなって、お野菜の上にマヨネーズをかけたはずが、ごはんの方に流れてべちゃべちゃしてお弁当に入れにくいと思われているそうです。それらを改善する全く新しい商品を公式にあてはめて考えてみます。マヨネーズから重要なものを1つ引いてみます。マヨネーズといえば何かなと考えると…独特のパッケージ! ではこのパッケージをマヨネーズから引き、何かを掛け合わせることで、お弁当の中に入れてもべちゃべちゃしない新商品を、ここで皆さんと一緒に3分ほどで開発してみたいと思います。二、三人一組で何かよいアイデアが出たらいいですね。ご指名いたします。(受講生)つぶつぶの固形にしてみる。後で溶け出していくようなものにする。なるほど。例えば、お水や水分を少し掛けるとマヨネーズが固形から溶ける、など。固めるというアイデアですね。そのとき何かを足してマヨネーズに戻していく。(別の受講生)1回分だけ袋に入れて、…。大きいマヨネーズをそのまま使わずに個包装にする。それもアイデアですよね。(別の受講生)粉末はどうかなと思いました。水分を抜く。例えば、フリーズドライにしてマファイナンス 2017.1047連 載|セミナー

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