ファイナンス 2017年10月号 Vol.53 No.7
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国際機関設立協定の作成については、2013年5月の財務大臣と中央銀行総裁会議において大筋の合意に達し、協定案の署名に向けて詰めの作業を残すだけとなりました。一息つく間もなく、その月の末からバーナンキFRB議長の発言に端を発する市場の混乱が起こりました。バーナンキ議長の発言で市場が動揺する(2013年5月~2014年春)始まりは2013年5月23日(シンガポール時間)でした。その週はASEANと日中韓の対外的な資本流入44規制の現状と比較についてのレポートを議論することになっていました。AMRO(カンパニー)は、加盟当局からの要請により、その時点で関心の高い事項について調査レポートを作成し、定期的に配布していました。午前の会議の休憩の際にメールを確認していると、市場の動きについてのレポートがオフィスの内外から多数届いていました。バーナンキFRB議長の議会証言を受けて、アジアの為替、株式が大きく下落して始まったことを受けてのことでした。先進諸国は2008~09年のリーマン危機の後遺症から立ち直っておらず、米国FRBの2008年を皮切りに、ECBは2009年から、日銀もその年(2013年)春から、非伝統的金融政策の手法を導入していました。国際機関を作る はなしASEAN+3マクロ経済 リサーチ・オフィス(AMRO)創設見聞録その8、第二回目の資本流出(2013年春~2014年春)根本 洋一資料1 ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)の設立経緯(2008年~2016年)2008年2011年2012年2013年2014年2015年2016年国際機関化サーベイランス経済の調査・分析危機対応の枠組み2008年9月リーマン・ショック↓2009年2月ASEAN+3財務大臣特別会議2011年4月AMRO(カンパニー)設立2011年11月サーベイランス開始2016年2月国際統計整備支援開始2012年5月国際機関化検討の指示2014年10月協定案に署名2015年~各国議会による協定の承認2010年3月CMIM(契約の一本化)発効2016年2月国際機関の創設2013年5月~資本フロー動向に焦点2016年2月CMIM事務局としての機能開始2013年5月~バーナンキ議長発言による市場の混乱2015年8月~人民元切り下げに伴う市場の混乱2011年8月~米国債格下げに伴う市場の混乱30ファイナンス 2017.10連 載|国際機関を作るはなし

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