ファイナンス 2017年10月号 Vol.53 No.7
21/60

セミナー開催に当たっての裏話ところで、今回のセミナーを開催するに当たっては、事前に様々な方々にお会いしアドバイスを頂いたのだが、とある大学教授の方から「内容がテクニカルであり、かつ英語で授業を行うので受講生があまり集まらないのではないか」というお話を頂いていた。「IMFの知見を幅広く伝えていきたい」という高い理想を掲げていたが、それを伝えるべき人が集まらないのでは、という懸念が実はあったのだ。しかしながら、こうした懸念は杞憂で終わった。今回定員を20名として募集したところ、結果的には実にその3倍以上の方々から応募を頂いた。これは、これまで「IMF-JICA共同セミナー」などを通じて多くの議論を重ねたJICAのカウンターパートから、JICAのメーリングリストやFacebook、Twitter等のSNSツールを活用することで多くの受講生を確保できるのではないかとの貴重なアドバイスを頂き、このアドバイスを基に、実際にJICAやさらには国連など国際機関で働く日本人の増加に尽力している外務省国際機関人事センターのメーリングリスト及びSNSツールを活用させて頂いたことで、開発問題や国際機関などに関心を持つ多くの個々人や各大学に効率よくアプローチすることができたことによるところが大きかったように思う。後々受講生に聞いたところ、大学の学生達の間でも本セミナーのことが広がっていたとのことであった。また、今回のセミナーには海外の大学に通う日本人学生からも多数の応募を頂いた。応募者はみなやる気に満ち溢れた方々ばかりであり、応募数の少なさに悩むことはなくなったが、今度は、そうした方々の中から実際の受講生を選定しなければならないという新たな悩みを抱えることとなった。成功裏に終わったセミナーさて、このようにして開催されたセミナーは大きな成功を収めた。OAPスタッフ、JICAスタッフの尽力もさることながら、今回何より素晴らしかったのは受講生たちのセミナー参加に対する姿勢であった。講義の最中には受講生から様々な質問が飛び出すなど、彼らのこのセミナーに対する熱意がひしひしと感じられた。特に、グループディスカッション及びプレゼンテーションでは、グループによっては深夜遅くまで、そして早朝から議論を交わし入念な準備を行い、プレゼンテーション本番では、各々のチームが独自のアイデアを凝らしながら素晴らしい発表を行った。その後の質疑応答も非常に白熱したものであった。ところでこのグループワークは受講生たちからは非常に好評であった。セミナー終了後に行ったアンケート調査でも多くの受講生がグループワークを本セミナーの中で最もよかった点として挙げていた。講義自体は多くの内容を1日で終える形となったが、その後に集中的なディスカッションの時間を設けることによって、受講生たちの講義内容に対する理解をより深めることに繋がったようだ。JICAの施設に受講生全員が泊まることで、深夜までの議論、そしてそれを通じてのネットワーキングが可能となった。また、ある受講生からの声として、グループディスカッションで最も難しかったことは「お互いで異なる意見を1つにまとめることだ」というものがあった。今回は様々な国籍、バックグラウンドを持つ受講生同士でグループを組んで議論をしてもらったが、こうしたことは実際のIMFの現場や、さらには国際会議の場においても往々にしてあることであり、そうした状況を疑似体験する場を提供することができたことが今回の成功の大きな要因の一つでもあった。何人かの留学生からは、今回のようなセミナーをぜひ自分たちの国でも開催して欲しいといった声も聞かれた。また、セミナーにおいて紹介し参加者によるグループプレゼンテーションファイナンス 2017.1017IMF主催・JICA協力「Initiative for Macroeconomists of the Future:エコノミスト養成プログラム」についてSPOT

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る