ファイナンス 2017年10月号 Vol.53 No.7
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期安定的な保有を促すことなどを目的としています。海外IRでは、様々なタイプの投資家に対して、それぞれのニーズに応じ、きめ細やかに情報提供を行っています。海外IRの手法は、海外投資家の動向や市場環境の変化、「国の債務管理の在り方に関する懇談会」等の意見を踏まえ、投資家のニーズに応じた方法を取り入れています。当初は、日本国債の認知度向上のため、各地で大人数を対象としたセミナー形式を中心に実施してきましたが、近年では、こうした取組みによる認知度の向上等を受け、セミナー形式のみならず、個別投資家訪問も強化しています。投資家と直接対話することで、投資家ニーズのよりきめ細かい把握と対応が可能となり、日本国債の更なる理解にとって有意義なものになると考えています。平成28年度は14カ国を訪問 現地セミナーでの講演も実施平成28年度においては、アジア地域・大洋州において新規にニュージーランドを訪問したほか、マイナス金利採用国の債務管理当局との意見交換も実施(6か国)しました。その結果、北米、欧州、アジア等において、全10回の海外IRでは、14カ国、20都市を訪問し、現地投資家との面談に加え、現地のセミナーに参加、講演を行いました。6月には、坂井副大臣(当時)がシンガポールを訪問し、海外投資家向けセミナーにおいて講演を行い、アベノミクスの進展や財政健全化にかかる取組みなどをアピールしました。近年では、アジア地域から日本への債券投資が増加していることも踏まえ、外準運用担当者の情報交換の場である地域外準運用管理フォーラム(アジア開発銀行主催)に参加し、アジア・大洋州地域の機関投資家等を対象とした日本国債の説明も積極的に行っているほか、6月の国の債務管理の在り方に関する懇談会での示唆を踏まえ、アジアの年金やヘッジファンドにも多数訪問しています。このほか、海外投資家を招いた国内のセミナーでの講演や、来日する海外投資家との個別面談も重点的に行っています。近年は、IR活動による認知度の向上を受け、過去面談した投資家からの訪問を受けるなど、財務省に面会を希望する投資家が増加しており、平成28年度は多くの海外投資家との面談を実施しました。これらのIRにおいて、海外投資家からは様々な質問や意見が寄せられており、そうした海外投資家の声は、国債管理政策等に反映し活用しています。国内における海外投資家等との個別面談(注)国債企画課(海外投資家係)での対応件数59件78件146件平成26年平成27年平成28年1.国債保有者層の多様化→国債の確実かつ円滑な発行、国債市場の安定2.国債及び日本経済に関する正確かつタイムリーな情報提供→長期安定保有の促進3.海外投資家の動向及びニーズの的確な把握→国債管理政策へのフィードバック(第44回国の債務管理の在り方に関する懇談会(平成29年5月31日)配布資料抜粋)海外IRの目的ファイナンス 2017.109債務管理リポート2017に見る円滑な国債発行を支える債務管理と財務省の役割特集

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