ファイナンス 2017年10月号 Vol.53 No.7
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海外投資家の国債保有割合は 過去最高の水準に海外投資家の日本国債保有は、平成20年のリーマン・ショック以降、減少に転じました。保有割合で見ると8.6%(平成20年9月末)から5.6%(平成22年3月末)まで落ち込んでいます。その後は、世界的な景気回復傾向の中、各国の金融緩和等によるグローバルな投資資金の流入がありました。また、欧州債務危機を背景とした「質への逃避」といわれる動きがあり、安全資産とみなされた日本国債への需要等が見られました。これらにより、平成22年4月以降、海外投資家による日本国債の保有は増加に転じています。平成28年度も引き続き海外投資家による日本国債の保有は増加傾向で推移し、平成28年12月末には、海外投資家による国債保有割合は10.5%、保有額は113兆円と過去最高水準となっています。海外投資家による日本国債への投資は、期間が1年未満である短期債の保有割合が高いことが特徴の一つです。平成28年12月末時点では国債(除くT-Bill)の保有割合が5.5%であるのに対し、国庫短期証券(T-Bill)の保有割合は50.9%となっています。海外投資家は、流通市場において活発な取引を行う傾向があることも特徴の一つです。売買シェアを見ると、平成28年末時点で現物では30.9%、先物では48.0%となっています。海外投資家の流通市場におけるプレゼンスは、保有割合に比べて大きく、その動向を引き続き注視するとともに、海外投資家へのIR活動にも力を入れていくことが必要です。海外の国債等保有割合、売買シェアの推移5.95.56.57.77.48.08.66.97.06.86.46.05.66.06.66.47.17.58.48.58.38.79.18.68.58.48.18.58.28.38.69.19.49.29.710.510.210.010.310.518.517.321.519.224.423.521.717.116.115.816.217.419.417.718.918.722.921.019.519.320.717.320.518.221.222.023.322.524.122.622.323.725.725.125.529.033.030.232.030.943.239.537.733.738.939.543.137.839.641.342.237.538.237.233.931.837.537.637.438.641.038.040.340.641.042.345.847.853.653.451.649.249.251.051.154.753.948.747.948.00102030405060平成19年3月末平成20年3月末平成21年3月末平成22年3月末平成23年3月末平成24年3月末平成25年3月末平成26年3月末平成27年3月末平成28年3月末①国債流通市場における海外投資家売買シェア(先物)③海外投資家の国債保有割合(ストック)(%)②国債流通市場における海外投資家売買シェア(現物)(注1)四半期ベース。(注2)国庫短期証券(T-bill)を含む。②は債券ディーラー分を除いた計数。(出所)日本銀行、日本証券業協会、日本取引所グループファイナンス 2017.107債務管理リポート2017に見る円滑な国債発行を支える債務管理と財務省の役割特集

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