ファイナンス 2017年9月号 Vol.53 No.6
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研究棟内に共有スペースを設置している。ラウンジにはコーヒーサーバーを設置している。毎週木曜日、カフェに教員、学生、研究者等が集う「ティータイム」を実施するなど、異なる分野の研究者間で日常的に情報交換や議論が行われている。イ)国際性1)英語環境教育のみならず、事務処理手続きまで全て英語で実施(公用語が英語)。英語が公用語のため、事務部門は、英語資料について必要に応じて日本語に翻訳する。職員は原則、ビジネスレベルの英語能力を前提に採用を行う。2)国際公募教員の採用については、大学の国際競争力を高めるために、国際公募を積極的に実施している。大学ホームページだけでなく、国際学術誌の「Nature」や「Science」等においても公募を実施している。また、グローバルスタンダードである9月入学の学年暦の採用により、外国人受け入れの障壁をなくしている。学生についても、海外の大学で説明会を積極的に実施している。研究者のうち、68.2%が外国人で、46カ国・地域から採用されている。3)学生支援世界大学ランキング上位校と同様に、研究補助の対価を得るリサーチ・アシスタント報酬制度を設け、授業料の負担を補完するシステム等を導入している。ウ)マネジメント1)意思決定プロセス学長(兼理事長)が強いリーダーシップを持って大学を運営し、幅広い業務を主導する。また、重層的な組織ではなく比較的フラットな組織である。教授会は、学長の諮問・助言機関と位置付けられている。2)研究ユニットアソシエイト・プロフェッサー及びアシスタント・プロフェッサーを含む全教員が、独立した研究ユニットのリーダーを務め、研究ユニットを主宰している。研究サポート体制のため、リサーチ・サポート・ディビジョンが存在し、共用・共通機器及びサービス支援を提供している。3)テニュアトラック優秀な若手研究者が自立して研究できる環境を提供するため、テニュアトラック制を導入している。アシスタント・プロフェッサーは、任期7年とし、5年目に教員評価を行う。評価の結果により、期限の定めのないアソシエイト・プロフェッサーに昇進するか、7年で任期満了するかを決定する*12。なお、テニュアを有する教員であっても、研究資金(予算)の獲得に当たっては、原則5年ごとに、学外の評価者(海外からの評価者を中心)からなる委員会によって評価し、この結果を踏まえ研究費を決定する。4)年俸制優秀な教員の採用を容易にし、流動性を高めるため、教員に年俸制を導入している。5)男女共同参画女性が働きやすい環境を整備するとともに、男女の差なく多様な視点や優れた発想を持つ優秀な人材を確保する。29年3月末で、教授の11.5%、准教授の23.3%、教員全体で16.9%が女性となっている。(6)28年度の研究成果の発信・公表などOISTが発表した論文は、329。専門書2冊、学会のプレゼン・講演数は819であつた。28年度は、11件のOISTワークショップと7*12)28年度は、6つの研究ユニットのレビューが行われ、2つのユニットが「世界トップ」、4つのユニットが「世界クラス」(分野で上位10%に入る)というポジティブな評価を外部評価委員会から得た。審査委員会は、2つの研究ユニットについては規模拡大を、4つの研究ユニットは同規模での研究継続を推奨。研究ユニットのレビューの結果、3名の准教授が教授に昇進。ファイナンス 2017.951沖縄科学技術大学院大学(OIST:Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University)について SPOT

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