ファイナンス 2017年9月号 Vol.53 No.6
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整備」については、サミット首脳会合の成果等を得て、我が国の南の交流拠点を目指すという施策の方向性を明確にした。今後、世界最高水準の大学院大学等をはじめとする各種の研究教育機関の整備・充実を図るなど拠点形成に向けた強力な取組が必要である」とされた。そして、「3 基本方向 (3)世界的水準の知的クラスターの形成―大学院大学を中心として―」で、「民間主導の自律型経済の構築を目指すうえで、ハイテク技術の果たす役割が沖縄経済にとっても飛躍的に高まっている。このため、沖縄における科学技術の振興及び我が国の科学技術の進歩の一翼を担い、また、アジア・太平洋地域さらには世界に開かれた中核的研究機関として、我が国の大学のあり方のモデルとなるような「国際性」と「柔軟性」を基本コンセプトとした新たな発想を持った世界最高水準の自然科学系の大学院大学等を核に他大学、公的研究機関及び民間企業・研究所の集積と一体となった知的クラスターの形成に取り組む。」としている。そして、「第3章 振興施策の展開」の「3 科学技術の振興と国際交流・協力の推進 (1)大学院大学等による科学技術の振興と学術研究・交流拠点の形成」で、「沖縄における科学技術の振興及び我が国の科学技術の進歩の一翼を担うため、また、アジア・太平洋地域さらには世界に開かれた中核的研究機関として、我が国の大学のあり方のモデルとなるような新たな発想を持った世界最高水準の自然科学系の大学院大学等を核とした大学、公的研究機関、民間の研究所などの教育・研究機関の整備充実に努め、科学技術の集積を図る」とされた。(2)大学院大学構想の経緯の概要(1)で既述したように、尾身幸次内閣府特命大臣が、平成13年(2001年)6月に構想を提唱し、翌年の沖縄振興特別措置法及び沖縄振興計画に位置づけられた後、OIST発足までの経緯の概要を以下に示す。・平成15年(2003年)12月関係閣僚申合せ・沖縄県恩納村に設立する・大学が設置されるまでの間の措置として、整備法人を設立し、研究を実施する・大学の開学については、主任研究員が50人程度に達した時点を目処とする・平成16年(2004年)2月先行的研究事業として4件のプロジェクト*2を選定・平成17年(2005年)3月独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構法成立(全会一致)・同年8月シドニー・ブレナー博士(2002年ノーベル賞(生理学・医学賞)受賞)を機構の初代理事長として指名・同年9月独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構設立・同年12月関係閣僚申合せ・今後7年程度以内を目途に沖縄科学技術大学院大学の実現を期する・第1期中期目標期間(~20年度)中を目途に、設置形態等の課題について一定の方向性を得る。・平成19年(2007年)3月恩納村でキャンパス建設工事着手・平成20年(2008年)7月第6回機構運営委員会・大学院大学の制度設計等について、「新大学院大学の青写真」を取りまとめ(長期的には300PIs*3を理想形)・同年12月*2)その1つであるマリンゲノミックスユニット(代表研究者:佐藤矩行)は、沖縄に生息するサンゴ、コユビミドリイシの全ゲノムを世界で初めて解読。2011年7月25日(日本時間)発行の英国科学雑誌Natureのオンライン版に掲載。「次世代シーケンサー」と呼ばれる、DNAを超高速・大量解読可能なゲノム解読装置が、短期間での解読を可能とした。沖縄がサンゴ研究のメッカとして認知される成果となった。*3)主任研究者を指す。Principal investigatorの略。ファイナンス 2017.945沖縄科学技術大学院大学(OIST:Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University)について SPOT

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