ファイナンス 2017年9月号 Vol.53 No.6
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○たばこ・紙巻たばこ:1987年(昭和62年)より暫定無税としており、実行税率は無税であることから、国内産に直ちに影響しない。・加熱式たばこ:葉たばこ農家の保護や加熱式たばこの競争環境の整備等の観点から、「6年目に撤廃」とし、一定の経過期間を確保した*15。【地理的表示(GI)】●GI「日本酒」などの酒類GIの相互保護により、日本産酒類のブランド価値を向上させ、輸出促進《解説》〈現状〉◆日本が指定したGIはEUでは保護されない。⇒日本以外の他国で製造された清酒(sake)であっても日本酒と称して販売することができる※清酒では、国レベルのGIとして「日本酒」(日本の米を原料とし日本国内で製造された清酒)を指定済み。また、地域レベルのGIとして「山形」 、「白山」を指定済み※焼酎では、「壱岐」、「球磨」、 「薩摩」 、「琉球」を指定済み※ワインでは、「山梨」を指定済み〈交渉結果〉◆酒類GIの相互保護により、清酒、焼酎、ワインのEU域内での保護を確保⇒模造品等の流通が防止され、ブランド価値向上が期待できる⇒特にGI「日本酒」が保護されることにより、日本酒と他国で製造された清酒がEU域内で差別化されるなど、将来に渡り日本酒のブランド価値保護が実現される※日本側もEUのGI(「シャンパン」、「ボルドー」等139名称)を保護(日本の業者にとっての激変緩和措置として、5年間GIの先使用を認める)【非関税措置(NTM)】●日本産酒類の非関税措置(「日本ワイン」の輸入規制、単式蒸留焼酎の容器容量規制)を撤廃し、EU市場を新規開拓①「日本ワイン」の輸入規制(醸造方法・輸出証明)の撤廃・これまで、EU域外からEU域内への輸出は、EUワイン醸造規則に適合したものしか認められず、適合している旨の公的機関による証明書を義務付け⇒新たに、EUは「日本ワイン」の醸造方法を容認(補糖、補酸、ぶどう品種の承認等)⇒協定発効後は、「日本ワイン」の自由な流通・販売が可能。また、業者の自己証明の導入により、コスト負担が軽減(注)主要なワイン添加物について、日EUそれぞれが申請手続きを開始。これにより、国内ワイン業者にとっても、EUで承認されたワイン添加物が使用できるようになる。《解説》〈現状〉◆EUは補糖量など独自の基準を定めているため、国際的なルールを踏まえて定義した「日本ワイン」であっても輸出ができない○EUワイン醸造規則に従って製造されたもののみが流通可能⇒気候・風土の相違等により、ほとんどの「日本ワイン」はEUワイン醸造規則を満*15)加熱式たばこは、紙巻たばこに代替する商品として、近年、市場で急速な拡がりを見せている(米PMI「iQOS(アイコス)」、JT「プルーム・テック」、英BAT「グロー」)。iQOS(アイコス)は2016年4月以降より全国販売しており、当該製品のEU(イタリア等)からの輸入額が急増している(2014年:3億円→2015年:27億円→2016年:506億円→2017年1~4月:409億円)。ファイナンス 2017.929日EU経済連携協定(日EU・EPA)の大枠合意について~財務省所管品目の市場アクセス交渉等に関する結果を中心に~SPOT

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