ファイナンス 2017年9月号 Vol.53 No.6
28/72

を更に大きく引き上げることなくバーゼルⅢの枠組みの最終化に取り組む。我々は、金融システムにおいて生じつつあるリスク及び脆弱性を引き続きしっかりと監視し、必要に応じ対処する。我々は、シャドー・バンキングの強じんな市場型金融への転換に向けた金融危機以降の大きな進捗を強調するとともに、シャドー・バンキングから生じるリスクに対処するために利用可能な監視・政策手段に関するFSBの評価を歓迎する。我々は、金融規制改革の影響を評価するためのFSBの作業及び実施後の影響の評価のための構造的な枠組を支持する。情報通信技術(ICT)の悪意のある利用が金融安定を脅かしうることを認識し、我々は、FSBの作業の進捗を歓迎するとともに、2017年10月に現状調査に関する報告書を期待する。国際金融アーキテクチャ我々は、成長及び持続可能な開発を支えるために、強固で、効果的で、代表的な、グローバル経済・金融機関を必要とする。「ハンブルク行動計画」で提示されたように、我々は引き続き、国際資本フローを支えるシステムを改善し、健全で持続可能な金融慣行を促進する必要性を強調する。我々は、国際金融アーキテクチャ、及び、強固で、クォータを基盤とし、かつ、十分な資金基盤を有するIMFを中心とする、グローバル金融セーフティネットを強化する。我々は、新たな計算式を含め、第15 次クォータ一般見直しを2019年春の会合までに、また、遅くとも2019年の年次総会までに完了させることを期待し、IMF の貸出手段の実効性をさらに向上させるための、継続中の取組を支持する。我々は、民間資金動員のための国際開発金融機関(MDBs)の「共同原則」及び「目標」(「ハンブルク原則及び目標」)を支持し、バランスシート最適化並びにインフラ投資及び連結性の促進に関するMDBsの作業を歓迎する。国際的な税の協力と金融の透明性我々は、世界規模で公正、現代的な国際課税システムのための取組を続け、成長志向の租税政策についての国際的協力を歓迎する。我々は、「税源浸食と利益移転(BEPS)」パッケージの実施に引き続きコミットし、全ての関連する法域に「包摂的枠組み」への参加を奨励する。我々は、「共通報告基準(CRS)」に基づく金融口座情報の初回の自動的交換が2017年9月に行われることを期待する。我々は、全ての関係法域が遅くとも2018年9月までに交換を開始することを求める。我々は、税の透明性に関して合意された国際基準の満足のいく水準での実施を達成するための各法域による最近の進捗を称賛し、次回のサミットまでに、実施に向けた更なる取組を反映したリストがOECDから提出されることを期待する。リストに載った法域に対しては、防御的措置が検討される。我々は、開発途上国の税に関する能力構築への支援を引き続き支持する。我々はまた、税の安定性向上に、そしてOECDと共同で経済の電子化によって惹起される課税上の課題に、取り組んでいる。腐敗、脱税、テロ資金供与、マネーローンダリングに対する我々の闘いにおける重要な手段として、我々は、国内及び国際的場面における情報の入手可能性を含む、法人及び法的取極めの実質的所有者情報と透明性に関する国際基準の効果的な実施を進める。記者会見の様子24ファイナンス 2017.9G20ハンブルク・サミットの概要について (2017年7月7日~8日開催、於ドイツ・ハンブルク)SPOT

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る