ファイナンス 2017年9月号 Vol.53 No.6
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2017年7月7日~8日にかけて、ドイツを議長国として、ドイツ・ハンブルクにて、G20首脳会議(サミット)が開催され、日本からは安倍総理大臣、麻生副総理兼財務大臣が出席した。G20サミットは、リーマンショックを契機とした金融危機に対応するための国際的政策協調の枠組みとして2008年11月に初めて開催され、2009年9月のG20サミット以降、「国際経済協力に関する第一のフォーラム」として世界経済における重要な役割を担っている。今回のサミット会合では、2日間にわたり、世界経済、貿易と投資、過剰生産能力、デジタル化、雇用、保健、エネルギー、気候、女性のエンパワメント、移民、腐敗など多岐にわたって議論が行われたが、本稿では、世界経済、貿易と投資、国際金融アーキテクチャ、国際課税、及び金融規制の分野における議論の概要を紹介したい。参考1)G20ハンブルク・サミットへの参加国・国際機関(ア)G20:G7(日本、カナダ、仏、独、伊、英、米、)、EU、アルゼンチン、豪、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、露、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ(イ)招待国:スペイン、蘭、ノルウェー、星、越(APEC議長国)、セネガル(NEPAD議長)、ギニア(AU議長)(ウ)国際機関:国際連合、金融安定理事会(FSB)、国際労働機関(ILO)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行(WB)、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)1世界経済及び貿易と投資について米国、ユーロ圏、中国等で経済が上向く中、世界経済の成長については「依然として望ましいペースよりも弱いが、現在の成長見通しは、心強いものである」との見方が示された。その上で、さらに成長を強化し下方リスクから守り、経済及び金融面の強じん性を高めつつ、強固で、持続可能で、均衡ある、かつ、包摂的な成長というG20の目的を達成するため、引き続き、全ての政策手段―金融、財政及び構造政策―を個別にまた総合的に用いることへの決意が引き続き表明された。また、金融政策は、引き続き、中央銀行のマンデートと整合的に経済活動を支え、物価の安定を確保し、財政政策は、債務残高対GDP比を持続可能な道筋に乗せることを確保しつつ、機動的に実施し、成長に配慮したものにするという認識が共有された。為替についても、「我々のこれまでの為替相場のコミットメントを再確認する」との一文が入った。これらの結果、マクロ経済政策や為替については、従来のG20としてのコミットメントが米国新政権発足後も再確認された。*1貿易は、現行の国際的貿易体制に対する米国新政権の姿勢を受け、G20として自由貿易へのコミットメントを確認できるかが大きな注目を集めていたが、首脳宣言では、相互的かつ互恵的な貿易及び投資の枠組みの重要性並びに無差別の原則の重要性に留意しつつ、我々は開かれた市場を維持するとともに、全ての不公正な貿易慣行を含む保護主義と引き続き闘う、との決意が示された。G20ハンブルク・サミットの 概要について(2017年7月7日~8日開催、於ドイツ・ハンブルク)国際局国際機構課長 三好 敏之Spot02*1)為替相場については、首脳宣言において支持された「ハンブルク行動計画」(後述)において、3月の財務大臣・中央銀行総裁会議(於:バーデン=バーデン)コミュニケと同一の文言が盛り込まれている。ファイナンス 2017.921SPOT

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