ファイナンス 2017年9月号 Vol.53 No.6
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1平成30年度概算要求基準の基本的な考え方平成30年度予算は、「経済財政運営と改革の基本方針2017」(以下「基本方針2017」という。)を踏まえ、引き続き「経済・財政再生計画」の枠組みの下、手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組んでいく。こうした基本的な考え方の下、「平成30年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(以下「平成30年度概算要求基準」という。)が本年7月20日に閣議了解されたところである。平成30年度概算要求基準は、安倍内閣発足後の4年間の仕組みと基本的に同様としつつ、「経済・財政再生計画」の内容を踏まえたものとしており、具体的には、1) 昨年までと同様、予算の総額について、概算要求基準において決定するのではなく、予算編成過程において、「経済・財政再生計画」における一般歳出の水準等の「目安」を踏まえて決定する仕組みとしている。2) 要求・要望においては、裁量的経費について、前年度予算よりも削減した額を要求することとしつつ、「基本方針2017」などを踏まえた諸課題に対応するため、「新しい日本のための優先課題推進枠」として別途要望を可能とする等、弾力的な仕組みとしている。3) 予算編成過程においては、歳出全般にわたってこれまでの安倍内閣の取組を基調とした効率化を行い、施策の優先順位を洗い直し無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化していくこととしている。平成30年度概算要求基準のイメージは下図のとおりであり、その具体的内容については2以降で説明する。平成30年度概算要求基準の概要主計局総務課主計官  江島 一彦Spot01平成30年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について▲10%15.6兆円31.2兆円14.6兆円12.6兆円要望基礎額地方交付税交付金等年金・医療等裁量的経費義務的経費さらに、聖域を設けることなく施策・制度の抜本的見直し見直し⇒要望基礎額新しい日本のための優先課題推進枠要望(要望基礎額の30%)(要求とともに要望を行い、予算編成過程において検討)※1 地方交付税交付金等については「経済・財政再生計画」との整合性に留意しつつ要求。義務的経費については、平成30年度の衆議院議員総選挙に必要な経費の増等の特殊要因について加減算。東日本大震災復興特別会計への繰入は、「平成28年度以降5年間を含む復興期間の復旧・復興事業の規模と財源について」に従って所要額を要求。※2 「幼児教育・保育の早期無償化や待機児童の解消に向け、財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用を含め、安定的な財源確保の進め方を検討し、年内に結論を得、高等教育を含め、社会全体で人材投資を抜本強化するための改革の在り方についても早急に検討を進める」との方針を踏まえた対応については、財源と合わせて、予算編成過程で検討。「人づくり革命」の実現に向けた人材投資や地域経済・中小企業・サービス業等の生産性向上に資する施策を始め、骨太の方針2017、未来投資戦略2017等を踏まえた諸課題について要望。「経済・財政再生計画」における一般歳出の水準の目安を踏まえ措置。高齢化等に伴う増加額0.63兆円29年度予算額73.9兆円16ファイナンス 2017.9SPOT

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