ファイナンス 2017年7月号 Vol.53 No.4
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るためにも長期的な課題であると言えよう。「眠れる巨像」が目覚めて3年、ついに巨像が動き出している。いったいどの方向に歩いていくのか。その巨像の動きを全世界が注目している。※コラム「インドのマイナンバー」日本でもマイナンバーの導入・活用に向けて、様々な準備が進んでいるが、実はインドでは一足先に国民IDが普及している。2009年に、固有識別番号庁「UIDAI(Unique Identification Authority of India)」という専門の機関が設立され、「Aadhaar」という国民IDプロジェクトが発足した。このIDは12桁の固有番号で、全国民を対象に発行されている。番号申請は任意で、各個人の氏名、生年月日、性別、住所のほか、顔写真、指紋といった生体情報がデータベースに格納されるシステムである。同国には戸籍システムがないため、社会保障や銀行口座、契約等できない人が数多く存在し、個人認証インフラを整備することでこの問題の解決に取り組んだ。既に総人口の70%(9億人以上)の普及率があり、世界最大の国民ID制度である。同国ではあらゆるサプライチェーン全体が未整備なために、このAadhaarの仕組みにより社会保障や銀行口座開設等が加速されることが期待できる。世界で加速しているFintechの技術とAadhaarの活用により、金融決済だけでなく、インフラ、医療、教育、その他サービス領域でイノベーションを生み出す可能性があり、インドはその先頭を走っている。プロフィール吉川 保(よしかわ・たもつ)2007年4月 双日株式会社入社。2016年1月から現職。プロフィール藤澤 隼人(ふじさわ・はやと)2010年4月 リベラ株式会社入社。2016年4月から現職。ファイナンス 2017.733投資環境改善の動きと財務総研の取組み モディ政権の政策と今後の課題:SPOT

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