ファイナンス 2017年7月号 Vol.53 No.4
36/56

等②ICRIER-PRI共同ワークショップ“Advancing India-Japan Economic Engagement”日時:2017年3月8日主な講演・討論者:(インド側)ICRIER:Kathuria所長、NITI:Aayog カントCEO、ICRIER:Acharya名誉教授、ICRIER:Hoda名誉教授、NIPFP:Mundle名誉教授、インド商工省:Kumar次官補(日本側)財務総研:根本所長、野村総研インド:金社長、JICAインド:坂本事務所長、早稲田大学大学院:浦田教授(主なテーマ)日印両国マクロ経済トレンド、インドにおけるFDI、ODAの現状、台頭する保護主義における日印協力等中国経済の減速懸念を発端とした世界同時株安や、英国のEU離脱選択、米国選挙の結果等、2016年は大きな変化があった。上記会議においても、変化するグローバル世界に対応するために日印間でどのような国際協力ができるかという観点で議論を行った。今後もこのようなワークショップや研究機関との交流といったツールを積極的に活用し、インド経済・ビジネス環境に対する知見の向上をはかるとともに、日印2国間の円滑なコミュニケーションに貢献していきたい。最後に、2017 年3月 同国に出張に行った際、進出している日系企業へヒアリングを行ったところ、ビジネス上の課題として、⒜税制・税務問題、⒝品質・価格問題、⒞製造業の生産工程に馴染めないインド人への対応等が挙げられた。⒜:国際課税の観点で税務当局と紛争になることが多々あり、またその税務紛争において、解決のスピードが非常に遅いことが日系企業のストレスになっている。⒝:現状高品質、高価格の商品はインド国内で求められていない。従って、日本や先進国で売れている商品をそのまま同国で販売しようとしてもなかなか売れない。どの機能に重点をおくか等をしっかり調査し、インド仕様として商品開発をすることがインドビジネスのポイントである。⒞:文化、教育の違いが大きい。インド人を教育する場合は、日本人の当たり前を同国では当たり前とは思わず、一つの仕事における背景や理由を教えることから始めるべきである。5おわりに「メイク・イン・インディア」のスローガンにて、2014年5月に誕生したモディ政権。モディ政権による経済改革、いわゆるモディノミクスは、簡単なスローガンで、国民に対して中長期的にどんなインドを作っていくかというメッセージは明確である。そして、この3年で少しずつであるが、外資規制緩和やGST導入、高額紙幣廃止等、着実に変化している。変化という成果を国民に示すことで、州議会選挙でも与党が圧勝し、モディ政権の支持率は未だに高い。現状総人口世界1位の国は中国であるが、国連によれば22年までにインドが中国を上回ると予測している。雇用の創出はモディ政権の足元の課題でもあるが、今後の労働人口の増大に見合った雇用を如何にして創出するかは同国の成長を支え【ICRIER-PRIワークショップの様子】32ファイナンス 2017.7SPOT

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る