ファイナンス 2017年7月号 Vol.53 No.4
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明確にコミュニケーションを行う。我々は過度の不均衡を縮小するために努力し、かつ、世界の成長を支える方法で行う。我々は、我々の経済に対する貿易の貢献の強化に取り組んでいる。2.技術変化や世界経済の統合は、近年、生活水準を世界で上昇させる上での重要な貢献を果たしてきた。世界経済が全ての人の役に立つように、我々は、我々の経済と社会が今日の変化のペースに適合することができるように取り組む。我々は、世界経済が長期にわたる緩やかな成長、及び大きくかつ拡大する格差に直面していることを認識する。この格差は、多くの国の国内で顕著に見られ、また、特に低・中所得者に影響を与えている。過度な格差は、世界レベルでも、信認を低下させ、将来の潜在成長率を抑制する。更に、格差は、社会の一体性を脅かし、制度にストレスを与えながら、地域間の不均衡につながり、世代を超えた階層間の流動性を低下させ得る。OECDの報告書「G7各国における包摂的成長に向けた財政アプローチ」は、我々の経済の包摂的成長に係るアジェンダ策定に関する指針を提供する。3.我々は、成長が包摂的、かつ、雇用が豊富で、我々の社会の全ての層の利益となることを確保することにコミットしている。我々は、経済成長の果実がより広く共有されることを確保しつつ、実際の成長率及び潜在成長率を引き上げることに取り組む。我々は、「バーリ政策アジェンダ」に合意した。このアジェンダは、政策オプションの広範なメニューを通じて、包摂性成長を促進する枠組を提供する。我々は、財政の質の向上等を通じた包摂的成長志向の財政政策を構造政策と組み合わせて、マクロ経済の安定を維持し、幅広い基盤を持った成長を可能とする環境を作りだすことに価値を見出す。我々は、衡平性に係る目標を政策立案に統合することの重要性を認識する。この文脈において、IMFの報告書「G7各国におけるジェンダー予算」は、予算策定過程を通じてジェンダーにかかる平等を促進する方法に関する指針を提供する。我々は、我々のG20の成長戦略において、「バーリ政策アジェンダ」を考慮することを検討する。6.我々は、テロ資金供与に効果的に対抗するために、我々が有している手段と方策を更に強化することに強くコミットしている。この目的のために、関連する当局間において、国内及び国際的に情報共有を強化するとともに、民間セクターとの協力を強化することにコミットしている。我々の資金情報機関(FIU)は、引き続き、協働し、ベスト・プラクティスを共有し、各国の異なる制度枠組みの下で、国内の規制及びその実施における可能な改善を含め、国際的な協力や国際基準の実施を改善する分野を特定する。我々は、国際基準の実施の改善、及びこれらの課題に関するベスト・プラクティスの共有に関する、金融活動作業部会(FATF)とFIUに関するエグモント・グループによる取組を強く支持する。15.我々は、サイバー攻撃が我々の経済に対して増大する脅威を呈していること、及び経済全体にわたる適切な政策対応が必要であることを認識する。周辺環境にサイバー脅威が残存し続ける限り、サイバー空間におけるいかなる部分も完全に安全ではあり得ない。金融システムをサイバー攻撃に対して強靱にするという我々の意欲は、サイバー空間全体における不安全度を減少させる手段を伴うことでのみ最大限の成果を達成しうる。次に、経済全体にわたる政策は、信頼性が高く、不偏かつ包括的で広く利用可能なデータに基づくべきである。したがって、我々は、国際機関や政府機関に対して、民間セクターと連携して、サイバーセキュリティに関する情報の共有を強化することを求める。結果が比較可能であるよう、データの定義と収集方法及び共有は、適切な場合には、国とセクターを跨いで調整され、整合されるべきである。サイバーセキュリティの最適な立法や関連する規制上のイニシアティブに関して、各国の経験とベストプラクティスを全ての利害関係者の間で共有することは、極めて有用となりうる。最後に、我々は、サイバー保険市場の発展をフォローしており、OECDにおいて加盟国のインプットを受けて進められている作業と、OECDの報告書「効果的なサイバー保険市場に向けた支援」を歓迎する。16.我々は、より公正かつ現代的な税システムのために取り組むこと、及び、経済活動に参加する全ての者にとってグローバルに公平な競争条件を実現することに引き続きコミットする。この目的のため、G20/OECD BEPS(税源浸食と利益移転)パッケージの適時の、一貫した、広範な実施は極めて重要である。我々は、全ての関係・関心のある国・地域がBEPSパッケージの実施及びG20/OECD BEPSに関する包摂的枠組みへの参加にコミットすることを奨励する。我々は、2017年6月7日に行われる「BEPS防止に向けた租税条約に関する措置実施のための多数国間条約」の第1回署名式を期待する。我々は、経済の電子化に関連した進展を監視・評価すること、及び「OECDの電子経済に関するタスクフォース(TFDE)」の作業の結論に応じて、一貫したアプローチで関連する税の課題に対処するために、必要に応じて政策の選択肢を策定することの重要性を認識する。我々は、OECDのTFDEによる2018年の中間報告に期待する。我々は、税の安定性に関するOECD及びIMFの作業を支持する。18.「租税犯罪及びその他の不正資金の流れに対する闘いについてのバーリ宣言」は、当局間及び国家間の効果的な協力に基づき、租税・金融犯罪に対して包括的なアプローチで闘うという我々の決意を反映している。我々は、CRSの下での報告を回避するために設計された取極めや、実質的所有者に不透明な構造のシェルターを提供することを目的とした取極めに対処するために、義務的開示ルールのモデルの検討を含む可能な方法を議論する取組を支持する。記者会見の様子14ファイナンス 2017.7SPOT

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