ファイナンス 2017年7月号 Vol.53 No.4
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と取締体制の整備を行うことにより、迅速な通関と厳格な取締りの両立を図る取組が進んだ。事前報告制度の拡充による テロとの戦い2001年の米国同時多発テロ以降、我が国税関は、旅客、乗組員及び貨物に係る情報の事前報告制度の拡充に取り組み、船舶や航空機の関係者からの税関に対する報告制度の導入と義務化、報告時期の前倒し、報告対象の拡大、NACCSによる電子化を進めてきた。旅客や乗組員については、入出国API(Advance Passenger Information:事前旅客情報)の報告時期を入港後から入港前に前倒し(2004年施行)、入国APIの報告義務化(2007年施行)、航空機旅客の入国PNR(Passenger Name Record:乗客予約記録)の報告制度の導入(2011年施行)を行った。海上・航空貨物については、積荷情報の報告時期を入港後から入港前に前倒した制度が導入された(2007年施行)。また、海上コンテナー貨物については、さらに報告時期を入港前から前倒しして、船積港を出港する原則24時間前までに我が国税関にNACCSを利用して電子的に報告することが義務付けられた(2014年施行)。本年3月の関税改正においては、情報の充実、早期化、電子化を図る観点から、航空機旅客に係る出国PNRの報告制度の新設、航空貨物のハウス・エアウェイ・ビル情報等の入港前報告の義務化、航空機旅客に係る入国APIの報告期限の前倒し、入出国API、入出国PNR及び航空貨物に係る積荷情報のNACCS報告の原則化等を行った(参考5)。このように、我が国税関は取締検査機器の配備を通じて不審貨物や不審者情報の可視化を行うとともに、法制度の改正*3を通じて事前報告制度の拡充を図ることによって、よりきめ細かい水際取締りに取り組んでいる。[参考4]主な取締検査機器麻薬探知犬・爆発物探知犬輸出入貨物、出入国旅客等の携帯品及び国際郵便物等に隠匿された不正薬物及び爆発物等の有無について、犬の嗅覚を使い探知。不正薬物・爆発物探知装置輸出入貨物、出入国旅客等の携帯品及び国際郵便物等を破壊せず、貨物に付着した不正薬物及び爆発物等の微粒子を探知。X線検査装置輸出入貨物、出入国旅客等の携帯品及び国際郵便物等を破壊せず、隠匿された不正薬物及び爆発物等の有無を検査。監視艇密輸リスクの高い海域及び海港等の監視活動、外国貿易船への立入検査時の海上からの監視活動等に使用。大型X線検査装置海上コンテナー等の大型の輸出入貨物を破壊することなく、隠匿された不正薬物や爆発物等の有無を迅速に検査。空港・埠頭監視カメラ空港の旅客や埠頭における船舶乗組員等による不正薬物や爆発物等の密輸について、モニターによって確認。(空港監視カメラ)(埠頭監視カメラ)6ファイナンス 2017.7

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